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足りない分だけ食べればいい

 2つ目は、食べる量を調整すること。

 たくさん食べた翌日はあまり食べなければいいだけです。普段からこれを実践している人にとっては、「何を当たり前のことを」と思うかもしれません。

 しかし意外とこれができない人もたくさんいます。少なからぬ人が、お腹がいっぱいなのに、昼になると何も考えず、いつもと同じボリュームの定食を食べているのです。

 なぜそうなるかというと、「体」で食べないで「頭」で食べているからです。

 体は必ずしも昼食を求めていないのに、飲食店のイスに座ってメニューを見たら、反射的に食欲中枢が刺激されてしまう。もっと体の声に耳をすませて、足りない分だけ食べ、満足したらそれ以上食べないようにすればいいのです。

 本来は足りない分だけ補うのが、食事の理想的な姿なのですから。

 3つ目は運動をすること。

 過剰に摂取したカロリーの収支バランスを元に戻すには、次に摂取するカロリーを少なくするか、運動でカロリーを消費するしかありません。

 自動車に例えると、前者は低燃費でノロノロ走るようなもので、後者は高速道路を快適に走るようなものです。これは消極的な戦略と、積極的な戦略とも言い換えられます。もちろん、状況が許すなら後者の方がベターです。

 体の中は、できるだけぐるぐると回すべきです。その結果、汗をかいて老廃物を洗い流し、各臓器に血液を送り込み、関節の可動域を増やし、心肺機能を上げ、筋力を増強します。

 これらの作用が体を良い状態に保ってくれるので、たとえ運動とおいしい食事でカロリーがプラスマイナスゼロになったとしても、運動をする価値は十分にあります。

 運動することによって、高齢者の転倒リスクを下げられることも報告されています(2、3)。

 「転倒」→「骨折」→「要介護状態」になってしまう人はとても多いのですが、そのリスクを下げられるのです。

 もう1つ付け加えると、運動は食事管理のモチベーションを上げる働きもあります。

 食事でいくら頑張って調整しても、「せっかく食事管理を頑張ったんだから、その分運動も頑張ろう」とはあまり思いません。けれど運動を頑張ると、「せっかく運動を頑張ったんだから、むちゃ食いするのはもったいない。食事管理も頑張ろう」という意識が働きます。

 ここには、興味深い非対称性が存在します。

 そう考えると、やはり運動をすることによって、食事管理のモチベーションも上げていくのがよいでしょう。

 このように、食事と運動は、良好な健康状態を保つためには切っても切れない関係です。よくいわれるようにまさに「両輪」なのです。

 ただし「両輪」といっても単に車輪が2個あればいい、という話ではありません。

 「運動は苦手なのでちょっとだけにして、食事を厳しく制限しよう」とか「長く続けてきた食生活は変えられないから、毎日1時間運動しよう」というような「車輪の大きさに偏りがあるやり方」は長続きしない可能性が高い。

 どちらかに無理強いさせるのではなく、少しずつでもいいから、両方に応分の負担を与える方が、結局は継続しやすいのです。

 たとえ車輪が小さかったとしても、大きさがそろっていれば、まっすぐに長い距離を進むことができるでしょう。

食事と運動の車輪の大きさが違えば進路はいびつになる