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 前回(「仰天!みんな、血圧を正しく測っていなかった」の記事では、高血圧の定義や測定方法について解説しました。

 高血圧になると、どうして様々な病気のリスクが上がるのでしょうか。

 高血圧では、血管の中の内圧が上がっています。高い圧力にさらされ続けると、血管の内壁にキズが生じます。そこに余分な脂質などが沈着して、動脈の劣化、いわゆる「動脈硬化」を起こすのです。

 動脈硬化が進むと血管の断面積が狭くなり、さらに血圧が高くなり、その結果、動脈硬化がさらに進む……という負のスパイラルに陥ります。その状態が進行していけば、最終的に血管は詰まるか、破れることになります。脳の血管が詰まれば脳梗塞、敗れれば脳出血になります。

 血管は全身の臓器に栄養や酸素を運ぶための、いわば「道路」のようなもの。そしてその道路は、常に同じ条件にさらされていて、同じように劣化していきます。動脈硬化が特定の血管だけに起きて、そのほかの血管は全く健康である、ということはまずありえません。

 つまり、動脈硬化が起きるということは、その影響が全身に及んでいるということなのです。脳に限らず、心臓の血管が詰まれば心筋梗塞、足の血管が詰まれば閉塞性動脈硬化症、腎臓では腎障害、ペニスではED(勃起不全)……といった諸々の疾患が同時に進行しています。

 特にペニスの動脈は非常に細いため、動脈硬化の影響が早期に出やすいと考えられています。「最近、どうもあっちの方が……」という人は、動脈硬化が進んでいないか確認した方がいいかもしれません。

 「健康寿命が著しく損なわれる脳卒中、避けるには?」(でも解説した通り、高血圧だけでなく、メタボリックシンドロームのように、ほかの因子(脂質異常症、糖尿病など)が合併すると、動脈硬化のリスクはぐんぐんと上昇してしまいます。特に高血圧と糖尿病や慢性腎臓病が合併すると、リスクが高くなることが分かっています(1、2)。

 ですから糖尿病や慢性腎臓病がある人は、ない人よりもしっかりと血圧管理をした方がいいのです。ただし、肝心かなめの高血圧の診断基準は、過去20年間に変遷を繰り返してきました。