いくら制限をしないといっても…

 しかしそれを持ってして、「コレステロールは制限なしにいくらでも摂取していい」という間違ったメッセージが様々なメディアを通じて世の中に広く伝わってしまいました。

 一度間違って伝わってしまったメッセージを、再度訂正するというのは極めて難しいことです。情報を正確に伝えることの重要性、そして難しさがよく分かります。

 また上限がないのは、あくまで「コレステロール値が正常な人」の場合であって、「高コレステロール血症の人」は、もちろん話が別です。

 いくら体内で合成される方が多いといっても、コレステロールの代謝が複雑であっても、体内にコレステロールがあふれているのであれば、食事によってその「原材料」を次々に投入しない方がいい、というのは理屈の上から明らかです。

 事実、脂質の摂取量に注意することでLDLコレステロールがある程度下がるという報告もあります(1)。

 では、コレステロール(特にLDLコレステロール)が高い人は、どれぐらい注意をすればいいのでしょうか。

 一つの目安として、コレステロールの摂取量は1日200mg/dl以下を目標にすべきだと言われています。ただ、これを厳密に守ると鶏卵1個(約250mg/dl)も食べられません。

 ですから1日200mg/dlであれば、3日で600mg/dl、1週間で1400mg/dlと考えて帳尻を合わせるのも手でしょう。

 あまりに厳しすぎる制限を設ければ、結局は続かなくなるだけです。「もう、こんなことはできない」と本人が深く納得してしまうことが、何よりも有害です。ですから時には制限を緩めたりして、長く続けられるような工夫が必要なのです。

 そして最後にもう一点。いくら厳密に制限しても、コレステロールが全く低くならない人がいます。

 それは「家族性高コレステロール血症」の人です。

 実はこの人たちは、遺伝的にコレステロールが高くなる体質を持っていて、放置すると狭心症や心筋梗塞のリスクが格段に高くなることも分かっています。しかも、決してまれなケースではありません。

 こちらについては、次回、詳しく解説します。

参考文献
  • (1)Schwingshackl L et al. Comparison of effects of long-term low-fat vs high-fat diets on blood lipid levels in overweight or obese patients: a systematic review and meta-analysis. J Acad Nutr Diet. 2013 ;113:1640-61.
  • 農林水産省HP
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