コレステロールの値は食事で調整できる?

 コレステロールの高値を食事でコントロールできるかと言えば、実は必ずしもそうではありません。

 なぜかと言うと、コレステロールは1日当たり「約200㎎が食事から摂取」され、それとは別に「約1gが体内で合成」されているからです。体内にあるコレステロールの大部分は食事とは無関係で、食事のコレステロールの量がそのまま血液中のコレステロール値に反映されるわけではないのです。

 むしろ体内のコレステロールは、食事から摂取されるコレステロールのバッファーとして作用します。

 つまり食事から摂取されるコレステロールが多いと、体内で作られるコレステロールは減少するのですが、逆に「食事のコレステロールが少ないと、体内で作られるコレステロールが増加する」のです。

 さらに、コレステロールの代謝は複雑です。

 極めて大雑把に解説すれば、体内にあるコレステロールは、まずLDLという物質と結合して、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)になります。必要としている組織に運ばれて利用されますが、残った分はHDLと結合してHDLコレステロール(善玉コレステロール)になって、肝臓へと戻っていきます。

 この過程で、「よし、HDLコレステロールだけを増やして、LDLコレステロールは減らそう」と思っても、普通の人が実生活でできることはほとんどありません。

 血中のLDLコレステロール値を食事だけで何とかしようと思っても難しいのです。

 『日本人の食事摂取基準(2015年)』では、「コレステロール値が正常な人」は、食事のコレステロール量と血中コレステロール値の相関を示すエビデンスが十分にないことから、食事のコレステロール量の制限は推奨されていません。

 これは「現段階ではエビデンスがなくて分からないから、根拠もなく上限量を設定しない」という、ある意味、サイエンスに対して誠実であろうとした姿勢なのだと思います。

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