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飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いは?

 各脂肪酸の特徴を解説します。

 飽和脂肪酸の過剰摂取はLDL-Cを上昇させる危険性があり、アメリカ心臓病学会、欧州心臓病学会などでも、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことが推奨されています。実際に飽和脂肪酸の摂取を減らすことでLDLが低下し、虚血性心疾患のリスクも減ることが報告されています(参考文献1)。

 ただ一方で、「やっぱり飽和脂肪酸は良くないんだ」と目の敵にすると、それはそれで問題があります。実は飽和脂肪酸の摂取量が「極端に少ない」と脳出血の発症率が高くなることが示されているのです(同2)。

 様々な報告があるからと言って一喜一憂する必要はありませんが、いずれにしても極端は良くないということです。肉も乳製品も、常識的な量を摂取する限りは問題にならないと考えてよいでしょう。

 では不飽和脂肪酸はどうでしょうか。

 魚に含まれるEPAやDHAが体に良いというのはよく聞く話です。実際にEPA、DHAといったn-3系脂肪酸は中性脂肪を減らし、心疾患のリスクを減らすことが分かっています(同3-5)。

 ほかにもn-3系脂肪酸は潰瘍性大腸炎(大腸に特殊な腸炎を起こす国の指定難病。全国におよそ20万人の患者がいる)や膵がんのリスクを減らすと報告されています(同6-7)。

 よく「肉より魚の方が良い」と言いますが、これはたんぱく質の差というよりも、含まれる脂肪酸の差を指して言っているのでしょう。そして「肉より魚の方が良い」というのは実際のところ、おおむね正しいと言ってよいでしょう。

 ただ、同じ不飽和脂肪酸であるn−6脂肪酸は、必須脂肪酸ではあるものの通常の食生活を送っている限り欠乏することがほとんどなく、むしろ過剰摂取によってアレルギーを起こしやすくなる可能性が示唆されています。前述した潰瘍性大腸炎のリスクを上げるとも報告されています(同8)。

 不飽和脂肪酸には、もう一点気を付けなくてはいけないことがあります。よく話題に上る「トランス脂肪酸」があるためです。

 解説を進めていきましょう。