量は質を規定するか
前回の冒頭に触れた「質か量か」という話(こちら)で言えば、もとよりどちらも大事ではあるが、先に例に挙げた「名創優品」などの生活雑貨のような、生産自体がさほど難易度の高くない商品は、最初から圧倒的な「量」をこなさないと勝負にならない。逆に高度に精密な機械部品のようなものなら、マーケット自体の大きさは限られているが、その中で「質」を武器に圧倒的なシェアを取ることは可能だろう。
そのような観点から言えば、「服」という領域で早くから中国に進出し、品質の高さ、リーズナブルな価格を武器に圧倒的な地位を獲得、その基盤を生かしつつ世界に打って出て、SPA(アパレル製造小売り)の領域で現時点の世界3位、さらに上をうかがうところまで来ているユニクロ(ファーストリテイリング)の戦い方はまさに王道といえる。
存在自体が「量」であるような巨大な国がすぐ隣にある日本の企業や個人として、これからの世界にどう対応するか。最終的には「質」が勝負だとは思うものの、「量が質を規定する」面があることは多くの人の同意できるところだろう。どのような商品を、どこで、誰と組んで、どのように造って、どのように売るか。本当に必死に知恵を絞らないといけない時代になったと思う。
「日本人と中国人の間には誤解が多い。
お互いが相違点を理解し、一緒に仕事をすれば
必ずWin-Winの関係になれる。
本書はそのためにとても役立つ」と
ファーストリテイリングの柳井正氏が絶賛!
本連載と、10年に及ぶ「wisdom」の連載の中から厳選・アップデートしたコラムを「スジと量」で一気通貫に編集。平気で列に割り込む、自慢話ばかりする、自己評価が異様に高い、といった「中国の人の振る舞いにイライラする」「あれはスジが通らない」という、あなたの「イラッ」とくる気持ちに胃薬のように効き、スッキリとする。ユニークな中国社会・文化論です。
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