
「質か量か」という議論は昔からたくさんあって、人によってさまざまな見解がある。
おおざっぱに言えば、日本人は「量より質」が好きで、「質」を目指すことによって高い付加価値を出すことに魅力を感じる人が多い。連載のタイトルに合わせて言えば「質」の追求が、我々が納得しやすい「スジ」なのだ。
しかし、であるがゆえに「それだけでは質は担保できない。質を上げるには量をこなさなければダメだ。“量は質を規定する”と言うではないか」という論法が一定の説得力をもって受け入れられている面もある。
いま日本人や日本企業、日本という国が中国に向き合う時、この「質と量」の問題を否応なく考えざるを得ない状況に来ている、と私は思う。
中国は言うまでもなく圧倒的に巨大で、この「量」というものの持つ強烈な意味を考えないと、中国と協力するにせよ、対抗するにせよ、どのように行動したらいいか判断できないからだ。
中国が「大きい」ことは誰でも知っているが、その「大きさ」が現実的にどのような意味を持っているのか、真剣に考える機会は少なかったように思う。どうもそれでは済まされない感じが昨今、とても強くしているのである。
来店客数10億人の生活雑貨チェーン
最近、日本でも時々、話題になるようになってきたが、中国に「名創優品(MINISO)」という生活雑貨のチェーンがある。日本の100円ショップのビジネスモデルをもとに、そこに無印良品風のお洒落さを加え、ユニクロのロゴや店舗デザインを模倣し、品質に対するこだわりを学びとったような企業である。
2013年創業の新しいブランドだが、報道によればすでに世界86カ国に3600店舗(うち中国国内2300、海外1300)、2018年の売上高は170億元(1元は約15円)に達する。前年2017年の売上高は120億元と発表されているので、1年で40%以上、伸びていることになる。詳細なデータは開示されていないが、年間の来店客数は10億人、購買客数は3億人との数字も出ている。
2022年までに「100カ国に出店、1000億元の売上高、1万店舗」を達成するとの目標を掲げ、2019年秋には香港市場に上場予定とのニュースも流れている。今回の香港の状況変化で事態は流動的だが、仮に上場が実現すれば堂々たるグローバルブランドの地位をさらに固めることになる(店舗検索はこちら)。
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