仕事始めの日、東京・神田明神には大勢のビジネスマンが訪れる(写真:アフロ)
仕事始めの日、東京・神田明神には大勢のビジネスマンが訪れる(写真:アフロ)

 新しい年を迎えたとき、人は何を思うだろうか。「今年こそは」と気力が湧く人もいれば、「元気に一年を過ごせれば十分」と、守りの心境になる人もいる。新型コロナウイルス禍に見舞われ続けた後だけに「大過なし」であることを願う人もいそうだ。

 日本経済はすでに成熟し、老境に達している。その実力を示す潜在成長率は内閣府や日銀の推計でプラス0%台という低さだ。米国のプラス1.8%と比べても低い。

 こうした日本経済の停滞、きつい言い方をすれば「地盤沈下」の最大の原因は、日本の人口動態、人口減・少子高齢化にある。「経済というのは人あってのものだ」というのが、筆者の持論。技術がどんなに進歩しても、AI(人工知能)やロボットが個人消費の主役になることはない。需要と供給の両面で経済活動を担う人の数が減る。若者が減り高齢者が増え続ければ、社会の活力は低下し、ほぼ必然的にその国の経済が成長する力は落ちてくる。

 総務省の人口推計(各年10月1日現在人口)によると、2020年の日本人の人口を年齢別に3つのカテゴリーに区分した場合、14歳以下が1481万人、15~64歳が7275万人、65歳以上(高齢者)が3584万人。おおまかに言って1:6:3の割合だ。現役世代とみなすことのできる、15~64歳の生産年齢人口が占める割合は、徐々にではあるが着実に低下しいる。現役世代1人が依存人口(お年寄りと子ども)1人を養わなければならない、いわゆる「肩車型社会」の到来がすぐそこまで近づいてきている。

 現役世代に課される社会保障費用の負担が重くなればなるほど、社会や経済の活力は低下しがちだ。それを少しでも防ごうとする政府の施策を一言で言うならば、「所得の高い高齢者の負担を増やす」というもの。要するに「取れるところから取る」手法である。それは一時的な取り繕いでしかない。

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3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

 米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。

 3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。

 4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。

 各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。

■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江

■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。