2022年はロシアのウクライナ侵攻、インフレ進行に伴う米国の急ピッチな利上げなど、金融市場をにぎわす出来事が多かった。日本では、日米金利差拡大による為替の円安、債券市場の混乱が目立った年だった。長きにわたる日銀の金融緩和政策も転換点に差しかかっている。年内最後となるこの連載では、サプライズが相次ぎ金融市場が振り回された2022年を、日米の要人発言をもとに振り返りたい。

(写真=ロイター)
(写真=ロイター)

【1月】
パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長
「今年は正常化に向けて進む年になる」
(1月11日 上院銀行委員会公聴会)

 再任承認に向けた公聴会におけるパウエル議長の発言内容は、利上げ開始は「年内」、保有資産縮小は「おそらく年後半」と述べるにとどめるなど、一定の自制がされていた。金融市場の動揺を避ける狙いがあったと考えられる。政策の正常化を進める上では、市場との慎重な対話が必要。利上げの時期・スピードや資産圧縮に関しては、「われわれは謙虚だけれども少し機敏(humble but a bit nimble)である必要があるだろう」との発言もあった。その後、3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げが開始された。

【2月】
黒田東彦日銀総裁
「(長期金利が日本の経済・物価情勢よりも)海外金利上昇などその他の要因に過度に影響されたとみて手を打った」
(2月15日 衆院財務金融委員会)

 2月14日に約3年半ぶりに実施した指し値オペに関し、黒田総裁は上記のように説明。長期金利が低下して「適切な効果を持った」と評価した。指し値オペを「しばしばやるつもりはない」としつつも、海外動向などに影響されて長期金利が大きく変動する場合は「必要に応じてそうした措置を取ることもあり得る」と述べた。その後、異次元緩和修正の思惑から海外勢の債券売りが続く中で、連続指し値オペが日常の風景と化した。

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3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

 米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。

 3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。

 4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。

 各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。

■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江

■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

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