米中間選挙で、民主党は善戦した(写真=AFP/アフロ)
米中間選挙で、民主党は善戦した(写真=AFP/アフロ)

 米中間選挙では民主党が予想以上に善戦した。11月9日に記者会見したバイデン米大統領は途中段階の開票結果を受けて、「民主主義と米国にとって良い日だ」と述べた。だが、2022年という年は、米国さらには世界全体にとって、良い年になったのだろうか。筆者は強く否定的である。この年は、米欧を中心とする「民主主義」陣営と、中ロを中心とする「専制主義」陣営の対立が、これまで以上に明確になり先鋭化した年として、歴史に刻まれるのではないか。

 10月16日に中国共産党大会で習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)が行った報告は、台湾問題について、「最大の誠意と努力で平和的な統一を堅持するが、決して武力行使を放棄せずあらゆる必要な措置をとるという選択肢を残す」とし、武力行使も辞さない姿勢を示した。

 バイデン大統領は上記の記者会見で、習国家主席との会談が実現する場合は台湾防衛を明言するのかとの問いに、「レッドライン(越えてはならない一線)の共通認識を再確認する」と述べた。筆者なりにバイデン大統領の言葉を意訳すると、「仮に中国が台湾に侵攻した場合、米国は軍事力による台湾への直接もしくは間接支援に踏み切るつもりがあり、決して座視しないというメッセージを先方に伝える」ということだろう。平和的手段ではなく軍事侵攻で台湾を支配下に収める選択肢を保持する習国家主席に対する、けん制的なメッセージである。

 では、米中首脳会談での実際のやり取りはどうだったか。バイデン大統領に対して習国家主席は、中国にとっての「レッドライン」は台湾問題そのものだと切り返した。米国が「一つの中国」の原則を尊重するならば、内政問題の範ちゅうに属すると中国がみている台湾の問題に口出しすべきではないというのである。立場の違いは明確で、事前に予想された通り、この問題の議論は平行線のまま終わらざるを得なかった。こうした対話の場があることで、偶発的なケースを含めて米中の軍事衝突が回避されやすくなるのも事実ではあるのだが。

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