為替相場が新聞やニュース番組で取り上げられる機会が、今年は急に多くなった。言うまでもなく、日本人の日々の生活への影響が最も大きい円相場が、円安ドル高へ急激に動いたからである。今年これまでの取引で最も円安となったのは1ドル=151.94円(10月21日)。反対に最も円高に振れたのは1ドル=113.48円(1月14日)なので、年間の値幅は38.46円という、きわめて大きな数字となっている。

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 ちなみに2017年から21年までの各年の値幅は、11.28円、9.99円、7.94円、10.95円、12.92円。このところ、10円前後の値幅を行き来する見方が定着していた。その円相場の変動が急に大きくなった。これだけ大きな値幅となったのは、1985年のプラザ合意以降で見ると86年以来のことである。この年のドル最高値は1ドル=203.30円、最安値は1ドル=152.55円で、値幅は50.75円だった。ただし、相場の絶対値が当時は今よりも大きかった。変動率は今年の方が大きい。

 では、1ドル=151.94円よりも先にある節目の水準はいくらだろうか。平成以降の対円でのドル最高値である1ドル=160.35円(90年4月2日)という見方が多い。ただし、日本の通貨当局が断続的にドル売り円買い介入を実施していることもあり、ここまで円安が進むと予想している向きは少数派である。

 むしろ、4回連続で通常の「4倍速」である0.75ポイントになっているFRB(米連邦準備理事会)の利上げ幅が、12月には0.5ポイントにペースダウンし、2023年1~3月期には利上げ自体が停止して高水準の政策金利を維持しながらの様子見のステージに移行するだろうというのが、筆者を含む、少なからぬ市場参加者の読みである。実際にそうなれば、今の為替市場全体のベースになっている「ドル高」局面には区切りがつく可能性が高い。米金融政策の先行きの利下げへの転換を予想しながら、円相場は反対方向の円高に動いていくだろう。

 ここで問題になるのが、円相場の「適正水準」である。為替相場は市場で決まるものであり、相場変動の原動力になる最も大きなテーマは状況次第で変わっていく。また、過去の相場変動を十分に説明できた回帰式が、この先もあてはまる保証はない。

 こうした条件はあるものの、いくつかの機関が算出している円相場水準を並べると、次のようになる。

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