(写真=ロイター/アフロ)
(写真=ロイター/アフロ)

 8月下旬の米国市場では、株式・債券のいずれもが売り優勢になった。主要株価指数のベアマーケットラリー(弱気相場の中での一時的な反発場面)は、とん挫した感が強い。いったんは買い戻されて利回りが2.51%まで低下していた米10年債は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げがなおしばらく続きそうで、利下げへのコース転換はまだかなり先になりそうだという失望感から売り戻されて、一時3.29%まで利回りは上昇した。

 債券でも株式でも、打診買い・押し目買いを何度か入れては、そのたびに裏切られてきた機関投資家が少なくないように見受けられる。政策当局者のみならず金融市場のプレーヤーも、「不確実性」の高さに翻弄されている。そして、そのようになっているのは、経済・金融市場の様相が、過去に例がないほど「複雑化」しているからだろう。

 気迷い状態の期間が異例の長さになっている原因として、以下の3点を特に指摘することができるように思う。

(1)「経済の論理」「経済的利害」を重視しない大国の指導者が何人も出現したこと
(2)気候変動対応が緊急課題に浮上し、「経済政策の優先順位」が曖昧になったこと
(3)「スタグフレーション(不況と高インフレの共存)」のリスクに直面している米欧中央銀行の動きが読みにくいこと

 上記のうち、ここでは(1)を中心にコメントしたい。歴史をつくるのは、何らかの点で傑出している「人」なのか。それとも、社会・経済情勢が歴史の大きな流れをつくる中で、ただ単に「人」が動いているだけなのか。歴史学の根底に横たわる大きな論点であるわけだが、いずれにせよ、今回の局面では大国の何人かの政治指導者が経済のロジックに沿わない行動をしていることが、世界の経済・金融市場に想定外の大きな影響を及ぼしている面が大きい。

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