急速に進むインフレを抑えるべく、FRB(米連邦準備理事会)は利上げを急ぐが・・・・・・(写真=AP/アフロ)
急速に進むインフレを抑えるべく、FRB(米連邦準備理事会)は利上げを急ぐが・・・・・・(写真=AP/アフロ)

 FRB(米連邦準備理事会)のタカ派姿勢が明確に和らぐタイミング、具体的には、利上げ幅縮小を経て利上げが停止し、利下げ転換観測が市場で強まり、FRBが実際に利下げに踏み切るのはいつであるか、市場の関心が集まりつつある。

 まず、FRBの利上げ局面(利上げが複数回行われた時期で、単発利上げは除いた)における「最後の利上げ」から、路線が逆向きに変わったことを示す「最初の利下げ」までのインターバルに関し、フェデラルファンド(FF)金利誘導水準が主要な政策金利として十分認知された90年以降の4つの事例について整理すると、次のようになる(日付は金利水準変更の決定日ベースであり、公開市場操作における適用開始日ベースではない点に留意されたい)。

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【FRB 「最後の利上げ」から「最初の利下げ」までのインターバル その1】
◆95年2月1日利上げ、同年7月6日利下げ 約5カ月(155日)
◆00年5月16日利上げ、01年1月3日緊急利下げ 約7カ月半(232日)
◆06年6月29日利上げ、07年8月17日公定歩合緊急引き下げ 約13カ月半 
(414日)※その後、9月18日にFFレート誘導水準引き下げ開始
◆18年12月19日に利上げ、19年7月31日に利下げ 約7カ月半(224日)

 以上4事例の平均は約8カ月半(約256日)である。仮に、今年12月開催のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げが打ち止めになる場合、上記の平均ラグ(時間差)を単純にあてはめると、2023年9月のFOMCにおける利下げが想定される。筆者は現在、このシナリオを頭に描いている。

 8月5日に発表された7月の米雇用統計は、(1)失業率が「新型コロナウイルス禍前」水準の3.5%に低下、(2)非農業部門雇用者数が予想比上振れで「コロナ前」水準を突破、(3)時間当たり賃金は前月比で伸び率が加速するという、事前の想定よりも強い内容になった。リセッション(景気後退局面)に追い込まずに大幅な利上げを継続できるとみるFOMC内のタカ派にとって、この雇用統計の内容は強い追い風である。

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