(写真=Win McNamee / Getty Images)
(写真=Win McNamee / Getty Images)

 7月13日に発表された米国の6月の消費者物価指数(CPI)は、全体の動きを表す総合指数が前年同月比プラス9.1%と、1981年11月以来の記録的な上昇率となった。市場予想を上回る結果に金融市場は大きな衝撃を受けた。前月比でみてもプラス1.2%と、5月の8%台から大きく上昇する形となった。

 FRB(米連邦準備理事会)は最近、この総合ベースで見たCPIの加速ぶりを注視している。これは極めて例外的といえるだろう。なぜなら中央銀行がインフレに関して言及する際、通常は短期的な変動が激しくなりがちな食品やエネルギーの影響を取り除いたコアベースのCPIを用いるのがほとんどだからだ。コアCPIを見れば、物価の中長期的なトレンドが見極められるため、FRBはコアCPIを参考にしながら金融政策運営に反映する。しかし、今回の局面でパウエルFRB議長は、コアではなく総合ベースの重要性を強調している。

 6月15日のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.75%、すなわち通常の利上げ幅である0.25%の「3倍速」の利上げが決定された後、米通信社ブルームバーグは「FRB、総合価格指数に一段の重点か-インフレ退治の金融政策決定で」と題した記事を配信した。その中に次のような記述があった。

「パウエル議長は、ロシアによるウクライナ侵攻などを背景とした食料品やエネルギーの価格高騰について、家計のインフレ期待が浸透していく可能性があると指摘した。インフレ期待の不安定化は当局にとって警戒すべき状況だ。金融政策決定において、2つの項目の物価動向の重要度が増しつつあることを意味する」

「コアインフレ率は将来のインフレを予測するのにより良い手掛かりであるため、当局として注視しているとしつつも、一般の人々が通常目するのは全項目を対象とした総合価格指数だと議長は説明。『総合指数が高水準にあることから、インフレ期待は非常に危険な状態にある』と語った」

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