
「値上げラッシュ」が止まらない。食べ物など身近な商品の値上げに関する記事が、新聞には連日掲載されている。昨年7月、今年3月に続いて10月にも値上げすると発表した、マヨネーズを主力商品としている食品メーカーがある。その一方で、消費税率引き上げを除けば1975年の創業以降初めての値上げに踏み切ったドリンク会社もある。
値上げを実施するタイミングや幅はさまざまだが、消費者のマインドにボディーブローのように効いてくる動きであることだけは間違いあるまい。ある経済コメンテーターが、こうした値上げは強力なアッパーカットのような効果がありそうだと評していたが、消費者が一撃でノックアウトされてしまうというよりも、ボディーを執拗に打たれて徐々にスタミナを消耗していくタイプの動きではあるまいか。
メーカーによる希望出荷価格や参考小売価格などの引き上げに関するマスコミ報道の異様なまでの多さを数字で示せるのが、筆者が考案して作成を続けている「値上げ-値下げDI」*である。これは、全国紙5紙(日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、読売新聞)の朝刊・夕刊に掲載された記事の数を検索するもので、キーワードに「値上げ」と「値下げ」を設定している。むろん、海外での値上げに関する記事など、国内経済とは関係がない記事もカウントされてしまうケースがあり得るが、作業が煩雑になることから、そこは捨象している。「値上げ」というキーワードを含んでいた記事の数から、「値上げ」を含んでいた記事の数を差し引くと、「値上げ-値下げDI」が出来上がる。

この「値上げ-値下げDI」のこのところの急上昇ぶりには目を見張るものがある。6月は+728で、6カ月連続の上昇。筆者がデータを取っている2013年以降の最高記録を更新した。それまでの最高は14年3月に記録した+516だった。
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