日銀が利上げに動き市場金利が急上昇すると、国債支払金利にも影響が(写真=PIXTA)
日銀が利上げに動き市場金利が急上昇すると、国債支払金利にも影響が(写真=PIXTA)

 日本経済新聞は5月31日付朝刊の1面トップに「国債利払い費、1割転用」と題した記事を掲載した。サブタイトルは「10年で11.9兆円、補正の隠し財源」「低金利の恩恵、限界に」。一般にはあまり知られていない、予算案編成において財務省が伝統的に用いてきたテクニックに焦点を当てており、掲載の意義を感じる記事だった。

 上記の記事に対し、筆者は日経新聞電子版の有識者コメント欄「Think!」にこう書き込んだ。

国債利払い費が補正予算編成の財源に振り向け可能な財務省(旧大蔵省)の「隠しポケット」になっていることは、大型経済対策の策定が増えた1990年代から、債券市場に近いエコノミストを中心によく知られていることである。国の債務が累増すれば利払い費に増加圧力が加わるが、平均支払金利の低下は利払い費の減少につながる。両者のバランスがどのようになっていくのかが、カギを握るわけである。ここで注意すべきは、既存債務の全額が毎年借り換えられるわけではないこと。大半は既に発行されており決まっている国債の利率に沿って利払いが行われる。よく聞かれる、ある年に国債の平均支払金利が急に1%上昇するというような想定は、現実的なものであるとは言い難い。

 国の予算において、一般会計の国債費は、「債務償還費」「利子および割引料」「国債事務取扱費」により構成されている。これらのうち、市場金利の動向との関連で焦点になるのは、「利子および割引料」。その内訳は「公債利子等」「借入金利子」「財務省証券利子」の3つだが、金額が圧倒的に大きいのが「公債利子等」、上記の記事にある国債利払い費である。

 1975年度以降について「公債利子等」の推移(決算ベース)を見ると、85~00年度あたりは10兆円前後で推移していた。だが、市場金利が大幅に低下する中で水準を切り下げていき、05年度にボトムを形成した(6兆8393億円)。その後は7~8兆円台でおおむね安定的に推移しており、足元では緩やかに減少している。なお、グラフ中の21年度は補正後予算ベース、22年度は当初予算ベース。後者は金額が大きめに見積もられていることから現時点では8兆円台になっているが、年度が終わった段階での水準は7兆円台に切り下がるだろう。

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