(写真=ロイター/アフロ)
(写真=ロイター/アフロ)

 米国の株式市場で、週間ベースで見た主要株価指数の下落が記録的な長さになっている。ダウ工業株30種平均は5月中旬にかけて8週連続の下落となったが、これは世界経済が大恐慌に見舞われていた1932年以来の出来事。S&P500種とナスダック総合指数はともに7週連続の下落になった。

 こうした米株大幅安の最大の要因は、言うまでもなく米連邦準備理事会(FRB)がタカ派の姿勢を強め、「金利」と「量」の両面から金融引き締めを急ピッチで進めているからだ。加えて、上海のような大都市でのロックダウン(都市封鎖)さえためらわない、中国の新型コロナウイルス対策としての「ゼロコロナ政策」の堅持が、この国の景気を冷え込ませるのではという警戒感がここにきて高まりつつある。

 一方の台湾は、感染の主流に現在なっているオミクロン型は重症化リスクが低い変異ウイルスであるとの認識から、コロナ対策の軸足を感染源封じ込めから重症化の抑制へとシフトしている。4月26日、台湾では1日当たり過去最多を更新する形で6295人の新型コロナウイルス新規感染者が確認されたが、同じ日に濃厚接触者の隔離期間を短縮する規制緩和措置を開始した。この日、台湾で新型コロナウイルス対策を担う中央感染症指揮センターを視察した蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は、新型コロナ感染者はさらに増えるとの見通しを示しつつ、「感染状況は政府のコントロール下にある」と強調。日常生活や経済活動への影響を抑えながら被害を最小限にとどめる「減災」を目指すことに理解を求めた。

 このように、中国本土と台湾の新型コロナウイルス感染拡大への対応は、実に対照的だ。共同通信は、台湾の識者らが「『中国は防疫策として人権を無視したロックダウン(都市封鎖)を実施している。(民主主義の)台湾は中国のような方式を必要としていない』と強調し、感染対策と経済活動や市民生活を両立させる台湾モデルの優位性をアピールした」と報じている。

 感染が拡大しているウイルスの特性を踏まえつつ、感染拡大阻止と経済活動のバランスをどのようにとるべきかという問題は、各国の当局者が最適解を求め悩み続けてきたテーマである。ほとんどの国が経済活動維持を重視する「ウィズコロナ」へとシフトする中、中国政府は習近平(シージンピン)国家主席の厳命により、ゼロコロナ政策をかたくなに維持し続けている。

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