為替相場は移り気?(写真=PIXTA)
為替相場は移り気?(写真=PIXTA)

 2022年3月の為替相場は、まれに見る大きな値動きになった。主要通貨では、月初めの時点では114~115円台で推移していたドル/円相場が、日米中央銀行の金融政策のベクトル(方向)が正反対であることを材料にしながら急速に円安・ドル高に動き、28日にはロンドン市場で一時125.10円まで円安が進んだ。1カ月たたないうちに10円という大きな幅で値動きが見られたわけである。この時点では15年6月5日に記録した125.86円という大きな節目が意識されたが、30日には121円台へとドルは反落した。

 ユーロ/円相場の振れも、3月は非常に大きかった。ロシアがウクライナに侵攻したことは、地理的に近接している欧州連合(EU)・ユーロ圏の経済にとって、エネルギー価格の高騰などさまざまな角度からネガティブである。市場はユーロ売りに動き、対円では7日に一時124.48円をつけた。

 しかしその後、ユーロ圏の金融政策をつかさどるECB(欧州中央銀行)の姿勢が量的緩和の早期終了、さらには年内の利上げ開始も排除しない、想定外に高くなっているインフレ率への対応を前面に出すタカ派的な様相を強めた。そのため、ユーロは急速に買い上げられ、対円相場は28日には一時137.50円になった。こちらは月間で13円を超える値幅である。

 ちなみに、ロシア軍のウクライナ侵攻と米欧などによる対ロシア経済制裁が大きな材料になったロシアの通貨ルーブルの対ドル相場も、3月は変動が非常に大きくなった。米欧などが段階的に対ロ経済制裁を発動する過程でルーブルは売り込まれ、電子取引で2月28日に一時1ドル=120ルーブルまで、侵攻前から3割ほど下落した。過去最安値である。

 これに対しロシア中央銀行は、主要政策金利を9.5%から20%へと一気に引き上げる自国通貨防衛目的の緊急利上げを実施。ルーブル売りの抑制を狙った。欧米諸国による経済制裁強化を材料に、3月7日にオフショア市場で一時1ドル=150ルーブルを超える水準まで売り込まれるなど、ルーブルの不安定な値動きは続いたものの、プーチン大統領が「非友好国」に対してはルーブル建てで天然ガスを売る方針を明らかにしたこともあり(G7は拒否)、徐々に買い戻しの流れが明確になった。

ルーブル相場の急反発を伝えなかった日本メディア

 そして、3月30日のオンショア(ロシア国内)取引では、一時1ドル=82.56ルーブルになった(ウクライナ侵攻翌日の2月25日以来の水準)。また、ルーブルの対ユーロ相場は、侵攻より前の2月23日以来の水準まで上昇した。材料になったのは、上記のプーチン大統領の方針、トルコでの停戦協議の進展に加え、輸出企業が得た外貨の80%をルーブルに交換することをロシア政府が義務付けたことのようである。

 経済制裁でロシアが苦しんでいるということをできるだけ伝えたいからなのか、日本のメディアがルーブル相場の上記のような急反発の動きをほとんど取り上げていないのは、本来はおかしな話である。こうした為替相場の大幅な変動に、市場参加者だけでなく、動きを伝えるマスコミもまた振り回された感が漂う。

 ここで、上記のように変動が大きくなっている為替相場を見る際の「注意点」を、1つお話ししておきたい。

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