ビスコ・イタリア中銀総裁は12日、ECBは金融緩和による刺激策の巻き戻しに際し、段階的かつ慎重に動くことが重要だと強調。インフレのリスクだけでなく、ユーロ圏各国の資金調達コストの乖離(かいり)によって生じるリスクに対処する用意もあるとした。

 ECBによる資産買い入れの縮小・終了をにらみ、ユーロ圏ではイタリアやギリシャなど周縁国の国債の対独国債スプレッド(利回り格差)がこのところ拡大している。そのあたりへの目配りをECBが忘れているわけではないと、ハト派のビスコ総裁が注意喚起した形である。

 米国においても、あわてて利上げを重ねることのリスクに言及する地区連銀総裁が、ここにきて何人か現れている。

パウエル議長の「立ち位置」に注目

 デイリー・サンフランシスコ連銀総裁は13日のテレビ出演で、3月のFOMCで利上げに動くものの、「その先については非常に注意深く見きわめることが望ましい」と発言。突然の積極的な行動は景気や物価を不安定化させるとした。

 このほか、バーキン・リッチモンド連銀総裁も、3月の利上げ幅を通常の0.25ポイントではなく0.5ポイントとするなどアグレッシブな利上げを支持する発言からは、明確に距離を置いた。

 そうした意見対立がFOMC内にある中、パウエルFRB議長が今後とる「立ち位置」が大いに注目される。

 2022年の金融市場を予想する際、最大のポイントになるのはやはり、FRBの金融政策である。FRBによる急ピッチの利上げ、さらにはQTの実施は、米国景気の腰折れやグローバル金融市場の不安定化に結び付くリスクが高い。

 FRBが実際に利上げを重ねていく場合、米国債のイールドカーブ(利回り曲線)は逆イールドになるだろう。そのことは「リセッション(景気後退)の予兆」と受け取られて米国株の一段の下落を惹起(じゃっき)し、グローバル市場を大きな混乱に陥れるだろう。筆者はそのように予想している。

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