ウクライナ情勢を協議するNATO・ロシア理事会(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
ウクライナ情勢を協議するNATO・ロシア理事会(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 ロシアがウクライナ国境近くで自国軍配備を増強している状態が続く中、米国とロシアの関係が緊張の度を増している。

 米国のバイデン大統領は、2021年12月7日にロシアのプーチン大統領とオンライン形式で2時間にわたり実施した首脳会談で、ロシア軍がウクライナに侵攻すれば、ロシアに対する国際社会の評価を著しく変化させて「恐ろしいほどの代償を支払うことになる」と警告した。

 これを受けて、同月12日には主要7カ国(G7)外相が、「ウクライナへの軍事侵略をさらに行えば、ロシアは間違いなくその行為に対する重大な結果と厳しい代償に直面する」という声明を出した。翌13日には欧州連合(EU)外相理事会が開催され、ボレル外交安全保障上級代表(外相)は終了後の記者会見で、もしウクライナに侵攻すれば「高い経済的代償(というコスト)と政治的結果を招く」とロシアに制裁を警告する姿勢を全加盟国が明確に示したと説明した。

 EUを離脱した英国も、ジョンソン首相が同じ13日にプーチン大統領と電話会談し、ウクライナの主権を不安定化させるいかなる行為も「重大な結果を招く」と警告した。これに対しプーチン大統領は、ウクライナが加盟することによる北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大への警戒感をあらためて表明した。

警戒感強めるロシア

 ロシアが軍事力をちらつかせながら強い態度に出ているのは、自国に対する軍事的な包囲網への警戒感ゆえだと推測される。米ソ冷戦時代、外交関連の講義などでしばしば語られていた「地球儀を上から見てみよう」という話を、筆者は思い出す。周囲を敵に囲まれている旧ソ連の指導者の心理状態を、これにより理解しやすいというわけである。

 ロシア外務省は12月10日、ウクライナとジョージア(グルジア)のNATOへの将来的な加盟を認めた2008年のNATO首脳会議の決定を無効とするよう求める声明を発表した。プーチン大統領はバイデン大統領との7日の会談でも、NATOを拡大しない法的保証を求めていた。

 だが、ウクライナやジョージアは主権国家であり、その安全保障上の選択肢を他の国々が勝手に決めるというわけにはいかない。民主主義・国際協調の原理原則を重視するバイデン大統領には、到底受け入れられない話である。

 そうした状況下、日欧の首脳などを招いて12月9~10日に米国がオンライン形式で開催したのが「民主主義サミット」である。その閉幕にあたりバイデン大統領は、「民主主義の価値観は国際システムの中心にあると確信している」「われわれは、21世紀の発展の基準となるルール作りに向けて連携して取り組む」と述べて、成果を強調した。米国は民主主義の旗手としてこれからも世界をリードしていくという気構えの発露なのだろう。

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