鋭い点を突いていると筆者が思わされたのが、昨年12月27日に日本経済新聞が掲載したインタビュー記事「ウイルス共存へ最低3年 レッドフィールドCDC(米疾病対策センター)前所長」である。レッドフィールド氏によると、「いま開発を急ぐべきなのは信頼性の高い『免疫検査』だ」という。

 この主張は傾聴に値する。ワクチンの接種で体内に形成された抗体の持続期間には個人差があり、年齢が同じであってもブースター接種が必要かどうかは変わってくる。したがって、個人の実情を把握する手法の普及が必要だとする主張である。

 もっとも、ワクチン接種を何回進めても、新型コロナウイルス危機を終えるための抜本的な解決策にはならない。医療体制に余裕がなくなると、「ウィズコロナ」を維持できなくなり、ロックダウン(都市封鎖)を含む、より強力な行動規制の導入が避けられなくなる。この危機を終えるためには、有効性が高い経口治療薬の開発・普及が切り札だが、それが実現する時期は、まだ見えていない。

日本の治療薬、ないよりはよいが……

 日本では昨年12月24日に新型コロナウイルス経口治療薬が初承認された。だが、この治療薬の投与が重症化や死亡のリスクを減らす効果は治験では30%程度にとどまっており、医療専門家からの評価は「ないよりはよい」といったものである。このウイルスに対して有効性が高い経口治療薬の開発・普及には、まだ時間が必要である。そしてそれまでの間は、ワクチン接種をグローバルに展開することなどによる「時間稼ぎ」が必要になる。

 そうした中で、新型コロナウイルス感染拡大の次の波が日本にも押し寄せてきたことが明確になってきた。昨年末には、「政府関係者は最悪の想定として『来年(22年)2月の(緊急事態)宣言発令をシミュレーションしている』と明かす」との報道が出ており(12月31日、時事通信)、そうなるリスクは排除できないと筆者はみている。

 感染力に加えて重症化リスクも高い新たな変異型が、この先出てくる可能性もある。新型コロナウイルス危機で安易な楽観論に浸るのは、今後も禁物である。

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