カステックス首相は「まるで終わらない映画のようだ」と、同じ記者会見で嘆いた。

 こうした中、オミクロン型への当面の対応措置として、既存ワクチンのブースター接種を急いで進めようとしている国も増えている。

 米国のバイデン大統領は、昨年12月21日にホワイトハウスで演説した際、「トランプ氏(前大統領)も追加接種を受けた」ことに言及し、自分と彼が一致する点はこれくらいしかないと述べてやや笑いを誘った上で、ブースター接種を受けたり、屋内ではマスクをつけたりするなど適切に対応すれば、安心して予定通りのクリスマス休暇を楽しめるはずだと述べた。

 ちなみに、次の大統領選挙で「復権」するのではという見方も出ているトランプ氏は12月19日にテキサス州で開かれたイベントで、自らがワクチンの追加接種を受けたことを明らかにした。これを聞いた支持者の一部からブーイングが出たことから、トランプ氏が「やめてくれ」と制止を求める一幕があったと報じられている。

イスラエルではワクチンへの信頼低下も……

 新型コロナへの対応で迅速な動きが目立つイスラエルは昨年12月21日、60歳以上の国民と医療従事者を対象に、世界で初めて4回目のワクチン接種を実施することを決定した。そして、まず27日に同国で最大の国立病院で、医療従事者150人を含む6000人を対象に、米国製ワクチンの4回目接種が試験的に開始された。3回目の接種から4回目までの経過期間は5カ月から3カ月に短縮された。

 けれども、ワクチン接種で常に先行してきており、上記の通り4回目実施の方針を打ち出しているイスラエルに関しては、3回目の接種率が頭打ちになっているとの報道がある(12月31日付、毎日新聞朝刊)。オミクロン型の感染拡大を受けて、イスラエル政府はワクチン接種を強く促している。

 ところが、3回受けた人は人口の約4割強にあたる約420万人にとどまっており、4回目は「今のままでは不発に終わる可能性もある」。「専門家からは『ワクチンへの信頼低下や、接種疲れが背景にある』との指摘も出ている」という。ワクチンを接種しても感染する「ブレークスルー感染」が多発すると、副作用を我慢して接種してもあまり意味がないと考える向きが増えてくるのは、自然なことだろう。

 また、英経済紙フィナンシャル・タイムズが12月20日に伝えたところによると、低所得国における1回目のワクチン接種回数よりも、富裕な国におけるブースター接種の回数の方が多くなっている。筆者も以前のコラムに書いた通り、世界全体で見れば、これは「作戦ミス」である(当コラム21年8月17日配信「『デルタ型』で変化した戦いの様相、3回目ワクチンに倫理上の問題」、9月7日配信「冬場に向けて意識すべき新型コロナ『5つのリスク』」ご参照)。

 低所得の発展途上国で感染が拡大し続ければ、新たな変異型出現のリスクが大きくなる。

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