感染が再拡大している米国(写真=ロイター/アフロ)
感染が再拡大している米国(写真=ロイター/アフロ)

 新型コロナウイルスが世界にもたらしている危機が、いっこうに終わらない。2020年1~3月期に始まったとされるこの危機は、3年目に突入しつつある。

 マーケットでは、変異型オミクロン型に関する楽観論が足元で広がっており、1月3日の米株式市場ではダウ工業株30種平均とS&P500種が史上最高値を更新した。その一方で、各国の公衆衛生当局はオミクロン型の動向も含めて慎重論・悲観論に傾斜しており、両者のコントラストが鮮明になっている。

 世界全体の新型コロナウイルス感染者数は足元で3億人を超えている。日本時間1月3日早朝時点で米ジョンズ・ホプキンス大学の公表データから筆者が計算したところ、この日まで1週間の感染者数の増加幅は1000万人を超えて、3週連続のペースアップである。国別で見ると、感染者数上位5カ国のうちで感染拡大ペースが落ちたのは5位のロシアのみ。首位の米国や4位の英国ではペースが急速に上がった。

 欧州大陸では6位のフランスが目立って厳しい。イタリアとスペインはそれぞれ9位と10位に順位が上がり、いずれも感染者数は600万人を超えた。

 金融市場の楽観論の背景には、米連邦準備理事会(FRB)など先進国の主な中央銀行のバランスシート拡大が依然継続中であることから「カネあまり」相場の賞味期限はまだあるという見方が根強いことに、足場がある。

「1月はウイルスの猛吹雪になるだろう」

 さらに、FRBが仮に利上げを始めても株価動向に配慮せざるを得ないだろうという足元を見透かす向きの多さ、そして「サンタラリー」と呼ばれる、米国株が年末年始に上昇しやすいという経験則にも相当支えられているのではないかと、筆者はみている。新型コロナ危機への楽観論に、米株式市場が完全にベットしたというわけではあるまい。

 一方、公衆衛生当局の慎重論・悲観論は、オミクロン型の感染力のあまりの強さゆえに、医療体制ひっ迫リスクを意識せざるを得なくなっている面が大きいと考えられる。

 米政府のファウチ首席医療顧問は1月2日に複数の米メディアに出演した際、「たとえ重症化する割合が低くても、これまでよりはるかに多い人が感染した場合、結果として多くの人が入院する必要が出てくる」と強調した(1月4日付日本経済新聞朝刊)。

 これより前、米ミネソタ大学の感染症専門家であるオスターホルム博士は昨年12月30日にMSNBCに対し、「米国では感染者が劇的に増加し、日常生活に影響が及ぶ可能性がある」「来月(1月)はウイルスの猛吹雪となるだろう。社会全体が圧力にさらされることになる」という、厳しい警告を発した(12月30日、ロイター通信)。

 欧州では、世界保健機関のクルーゲ欧州地域事務局長が昨年12月21日 の記者会見で、「新たな嵐が迫っている(We can see another storm coming.)」 「欧州地域のより多くの国で、数週間以内にオミクロン型が主流になり、既にひっ迫している医療体制が一段と危機にさらされる」と述べて、警鐘を鳴らした。その嵐が世界に広がっている。

 フランスでは1月5日、過去24時間に確認された新型コロナウイルス新規感染者数が30万人を超えて、過去最多を更新した。これより前の昨年12月27日の記者会見でベラン保健相は「1秒間に仏国民2人が陽性になっている計算だ」と指摘。状況を「山崩れ」と形容して危機感をあらわにしていた。

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