食品の値上げラッシュが家計を直撃(写真:PIXTA)
食品の値上げラッシュが家計を直撃(写真:PIXTA)

 最近、食料品の値上げ発表が相次いでいる。消費者のサイフを直撃する「値上げの秋」「値上げの冬」といったところか。ガソリン価格や電気代・都市ガス代を大きく押し上げてきた原因である原油・天然ガスの国際市況の高騰は、新型コロナウイルスの新たな変異型であるオミクロン型の登場によってある程度は沈静しているものの、食料品の値上げ圧力は当面続きそうである。

 国連食糧農業機関(FAO)が11月4日に発表した10月の世界食料価格指数は132.8で、前月の129.2から上昇した。3カ月連続の上昇で、2011年7月以来の高水準である。小麦などの穀物が3.2%、パーム油などの植物油が9.6%上昇したが、その背景は、地球温暖化が要因と考えられる異常気象で収穫量が落ちたり、新型コロナウイルス感染拡大の影響で関連する作業にあたる労働者が不足したりと、複合的である。これに、海上輸送を中心とする物流コストの上昇が加わってくる。

輸入依存度の高い食品メーカーが苦境

 そうしたことが、輸入依存度の高い日本の食品メーカーを値上げ実施へ追い込んでいる。11月に入ってから報じられた値上げを発表日順に並べると、食パン・菓子パン(1日)、ジャム(16日)、カニ風味かまぼこなど(19日)、ちくわ・笹(ささ)かまぼこなど(24日)、ウイスキー(29日)、冷凍から揚げなど家庭用鶏肉加工品(30日)という具合である。

 12月に入ると、マヨネーズ、食用油、家庭用ハム・ソーセージの値上げ発表が1日に集中した。原材料価格や物流費の高騰を、値上げに動く理由として挙げた会社が多い。

 全国紙5紙の記事掲載件数をカウントして筆者が月次ベースで算出しているのが、「値上げ-値下げDI」である。これは、「値上げ」という単語を含む記事数から「値下げ」のそれを差し引いた数値であり、11月にプラス259に急上昇した(前月比プラス93)。これは2015年5月以来、6年半ぶりの高水準である(図)。

■図:全国紙5紙掲載の記事数から作成した「値上げ-値下げDI」
■図:全国紙5紙掲載の記事数から作成した「値上げ-値下げDI」
注:月次で集計
(出所)日経テレコンで検索した全国紙5紙(読売・朝日・毎日・産経・日経)掲載記事数から筆者作成

 メーカーによる食品の値上げには、主として2つの手法がある。1つは、販売する商品の中身のボリュームや質などを変えず、ダイレクトに希望する販売価格を引き上げる手法。もう1つは、販売する商品の中身のボリュームを減らすことにより、実質的に販売価格を引き上げる手法、つまり「実質値上げ」である。

 後者は10年ほど前から登場する機会が増えたように思う。箱の大きさは同じなのに入っている棒状のお菓子の本数が減る、かまぼこなど練り製品の1つひとつのサイズが小さくなる、というような事例は、読者の方々もいくつか見聞きされているだろう。食品ではないが、ティッシュペーパー1箱に入っている枚数の減少も、実質値上げの典型的な事例として、よく知られている。

量を減らすなどの実質値上げも

 これらのほかに、スーパーマーケットなど大手小売業者に対し食品メーカーが慣行として支払っている販売奨励金の額を減らすことにより、店頭での実売価格下落に間接的に制約をかける形で実質値上げをする手法などもある。

 総務省が作成している日本の消費者物価統計は、商品1つ当たりの量を減らすことによる実質値下げがあった場合、その品目の価格指数にきちんと反映させる立てつけになっている。この統計で品目「生鮮食品を除く食料」(ウエートは1万分の2230)の指数を見ると、エネルギー関連ほどではないにせよ、このところ値上がりがやや加速している。

 最新データである10月の全国消費者物価指数では前年同月比プラス0.7%で、前月の同プラス0.6%からプラス幅が拡大した。このところ発表されている食品の値上げでは、来年1~3月期に実施されるものが多いので、そうした流れは年明けにかけて続きそうである。

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