失言が目立つジョー・バイデン米大統領(写真=AP/アフロ)
失言が目立つジョー・バイデン米大統領(写真=AP/アフロ)

 11月20日に誕生日を迎えて79歳になり、米国史上最高齢の大統領としての記録を更新した、バイデン大統領。その発言内容が危なっかしい場面が、しばしば見られている。筆者が最も気になっているのは、台湾に関する発言である。失言ではないかとみられるものが、8月以降に3回もあった。

(1)8月19日
 バイデン大統領はこの日放送されたABCテレビのインタビューで、米国には台湾を防衛する義務がある、と受け取ることのできる発言をした。

 スタッフからの撤収延期の助言をはねつけ、大統領自身の判断に基づいてアフガニスタンから予定通り米軍を撤収したことは、現地で大きな混乱を招いた。さらに、ベトナム戦争におけるサイゴン陥落のように「米国の敗北」を印象付けるかのような一幕になったとして、40%台前半へとバイデン政権の支持率が低下する原因の一つになった。また、北大西洋条約帰国(NATO)の同盟国の側で、米国がどこまで守ってくれるのかという不安や不信を招いた面があることは、否めない。

「日本、韓国も同じだ」

 上記のインタビューで、「中国が台湾に対して『だから米国人を頼りにできないだろう』と言っている」と指摘されたバイデン大統領は、アフガニスタンのケースとは「根本的な違いがある」とした上で、「北大西洋条約機構(NATO)の同盟国が攻撃されれば、我々は(集団防衛を定めた)条約第5条を守ると誓約しており、反撃する」と明言。「それは日本、韓国も同じだ」「台湾も同じだ」と付け加えた。

 この発言について日本経済新聞は、「米国は台湾防衛の意思を明確にしない『戦略的曖昧さ』と呼ばれる政策をとっており、同氏の発言はこれと異なる」と説明。「米政府高官は『米国の台湾政策は変わっていない』と述べ、台湾関係法に基づき台湾の自衛に必要な支援に引き続き努める方針を示した」「就任前から失言癖で知られるだけに、口を滑らせた可能性がある」とした。

 この「戦略的曖昧さ」というのは、「一つの中国」原則を非常に強く主張している中国をできるだけ刺激せずに台湾を軍事支援する一方で、台湾の独立を米国が促すこともしないという、一種のバランス戦略である。

(2)10月21日
 上記の一幕から2カ月後。バイデン大統領はCNNテレビが東部メリーランド州ボルティモアで開催した住民対話集会の番組で、一般の出席者から「台湾を守れるか」と問われ、「私は習近平(シー・ジンピン)国家主席とほかのどの国のリーダーよりも長く話している」と返答。「台湾が攻撃された場合に米国には台湾を防衛する考えはあるのか」と重ねて質問されると、「そうだ。我々はそうする義務がある」と明言した。

バイデン発言の火消しを図る報道官

 これに対し翌22日、ホワイトハウスのサキ報道官は記者会見で、この台湾に関する大統領発言について、「米国の政策に変更はない。台湾が十分な自衛力を維持できるように支援する。平和的手段以外で台湾の将来を決めようとする行動は西太平洋の平和と安全への脅威とみなす。大統領も含めて、誰も台湾海峡で衝突が起きるような事態は望んでいない」と述べて、米国の政策方針をあらためて説明しつつ「火消し」を図った。

 「単なる失言か、政策変更があるかもしれないというシグナルなのか」と突っ込んだ質問が投げかけられたが、「政策は変更していない」と答えるだけだった。

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