北朝鮮は2021年10月19日、新型SLBMを発射した(写真=AP/アフロ)
北朝鮮は2021年10月19日、新型SLBMを発射した(写真=AP/アフロ)

 「コロナ前」の話になるが、筆者は中国と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の国境を流れる鴨緑江の北側に位置する中国の遼寧省丹東市に宿泊し、そこを拠点にして国境地帯の状況をあちこち見て回ったり、ボートで北朝鮮側に近づいたりと、リアルな「北朝鮮ウオッチ」を試みたことが2度ある。

 また、それよりもはるか昔には、名古屋から平壌に直行するチャーター便を用いたパック旅行に友人と参加し、ガイド付きではあるものの北朝鮮の国内を観光した。38度線の北朝鮮側から韓国側を眺めた経験もある。

 そうした興味関心があるため、マーケットエコノミストの仕事の手順としてニュースを早朝から日々入念にチェックする際には、北朝鮮関連の新たな動きのチェックも欠かさない。

 最近では読売新聞の9月25日付朝刊に、「中朝貿易 再開見えず…… デルタ株警戒 北、国境の封鎖強化」という記事が掲載されていた。デルタ株の国内への流入を北朝鮮は非常に強く警戒しているようであり、中朝国境の北朝鮮側では鉄条網や柵の設置個所が目に見えて増え、鉄条網を二重に張り巡らせた場所も多くなったようだという。

 中朝貿易停止の長期化による国内経済へのダメージよりも、新型コロナウイルス感染拡大阻止を優先しているわけであり、北朝鮮は中国と同様に「ゼロコロナ」方針を変えていないことがうかがえる。

 また、毎日新聞の10月20日付朝刊には、「軍備増強、苦しむ庶民 北朝鮮 物価上昇・取り締まり強化」という記事が載った。丹東の対岸にある北朝鮮・新義州の街並みの写真付きで、北朝鮮から中国入りした中朝貿易関係者の貴重な証言が集められており、実に興味深かった。

バイデンの時代、北朝鮮はどう出る?

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記との個人的関係を誇示していたトランプ前大統領がホワイトハウスを去り、米国はバイデン政権の時代に入っている。北朝鮮の米国などに対する外交・安全保障政策は現在、どのようなものなのだろうか。

 まず、9月以降の北朝鮮関連の主な動きを整理して把握したい。ここでは便宜的に、NHK NEWSWEBに掲載されたニュースの見出しと記事内容の一部を使用した。

 筆者が自らの判断でそれぞれに記号を付しており、●はもっぱら米国向けのメッセージや関連する動き、○はもっぱら韓国を意識した動き、△はどちらとも言えない動きを示している。

続きを読む 2/4

この記事はシリーズ「上野泰也のエコノミック・ソナー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。