緊急事態宣言下、日本経済には試練が続く(写真:つのだよしお/アフロ)
緊急事態宣言下、日本経済には試練が続く(写真:つのだよしお/アフロ)

 内閣府経済社会総合研究所が9月8日に発表した4~6月期の四半期別国内総生産(GDP)2次速報で、実質GDPは前期比プラス0.5%・同年率プラス1.9%になった。1次速報の前期比プラス0.3%・同年率プラス1.3%からは上方修正である。

 この前期比プラス0.5%への寄与度は、国内需要(内需)がプラス0.8ポイント、海外需要(外需)がマイナス0.3ポイント。内需を民間需要と公的需要に分けると、民間需要がプラス0.6ポイント、公的需要がプラス0.2ポイントである。内需が原動力になり、2四半期ぶりのプラス成長になった。

 民間最終消費支出(個人消費)は前期比プラス0.9%で、過去4四半期のうち3四半期でプラス。民間企業設備(設備投資)は同プラス2.3%で、1~3月期の同マイナス1.3%の減少分を埋めてお釣りが来た。その前の昨年10~12月期は同プラス4.3%である。そうしたことだけを見ると、コロナ禍からの日本経済の回復は曲がりなりにも順調だと思ってしまう人がいるかもしれない。

 だが実際は、そうであるとは言い難い。

 まず、GDPの金額の水準がまだ低い。

年内の「コロナ前超え」は困難な日本

 今回発表された4~6月期の金額ベースの数字は、実質GDPが539兆3093億円。「コロナ前」の19年10~12月期の実績(546兆9969億円)を、1.4%ほど下回っている。年内の「コロナ前」超えはかなり難度が高い。ちなみに米国では、今年4~6月期の実質GDPで、「コロナ前」超えをすでに果たした。

 米国の景気循環を判定する全米経済研究所(NBER)は7月19日、新型コロナウイルス危機による米国の景気後退局面は、20年2月に始まった後、4月には早くも底打ちしたと認定した。後退期間はわずか2カ月で、記録が残る1854年以降で最短である。

 次に、日本は、「コロナ前」からすでに景気が悪かったという事情がある。

 米国や欧州の場合、好況であったところに新型コロナウイルス危機が襲来し、それへの対応でロックダウン(都市封鎖)などの措置が取られた結果、景気が腰折れした経緯がある。したがって、そうした経済活動に停止ボタンを押すような強力な感染防止策が解除されれば、景気が鋭角的にリバウンドする素地があったと言える。

 これに対し日本の場合、景気は2018年10月に「山」をつけて、翌月から後退局面に入っていた。さらに、そうした中で19年10月には消費税率の8%から10%への引き上げが実施された。「コロナ前」の実質GDPのピークは、その消費増税前の駆け込み需要で膨らんだ2019年7~9月期の557兆7939億円である。今回発表された今年4~6月期の2次速報は、そのときの数字を3.3%も下回っている。

 そしてもう1点、民間だけでなく公的部門の需要にもある程度頼って景気が回復してきた面があることにも留意が必要である。

続きを読む 2/3 GDP押し上げ要因には、ワクチン費用も

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