むろん、「レジームチェンジ」後の日銀は物価至上主義の色彩が非常に濃いため、そうした景気に関するビューの差が今後の金融政策運営を予想する上で重要という訳ではない。要するに、異次元緩和がエンドレスに続いていく見通ししか、現状では立たない。

 とはいえ、不確実性が異例に大きい状況下、政策委員会内で活発な議論を通じて、日銀が組織全体として、より的確な経済見通しを示していくことは、市場としても歓迎すべきことだろう。

 新型コロナウイルス危機の先行きについて警戒姿勢を一貫してとってきている筆者の個人消費の見立ては、中村審議委員よりも若田部副総裁の見解に近い。

 感染リスクが続く間は、消費マインドの改善度合いには、おのずと限りがある。重症化リスクはワクチン接種で下がったと言われても、罹患(りかん)するのはやはり嫌だろう。

 また、「コロナ前」から日本の家計は、将来不安を根強く抱き続けている。そういう事情もあるので、積み上がった貯蓄が消費に回らずに滞留を続ける部分は決して小さくないのではないか。

 では、デルタ型変異株を含む新型コロナウイルス感染拡大の「波」が何度も押し寄せる中で、日本及び米欧の消費マインドは、どこまで回復しているのだろうか。最後に直近のデータをチェックしておきたい(図)。

■図:米・ユーロ圏・独・日本の消費マインド指標~「コロナ前」水準(及びその翌月)と、直近ボトムをつけた後の主な推移
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米独日は、「コロナ前」に届かず

 ユーロ圏では、消費者信頼感指数が足元で「コロナ前」の水準を上回っている。

 一方、米国、ドイツ、日本では、一定のリバウンドは起きているものの、「コロナ前」の水準はまだ回復できていない。

 そして、デルタ株を中心とする新型コロナウイルス感染拡大の新たな波が襲来しているため、足元ではいずれにおいても水準が切り下がっている。特に米国では、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数が前月比マイナス11.3ポイント、同じ月のミシガン大学消費者センチメント指数確報が前月比マイナス10.9ポイントと、ともに約11ポイントの大幅な低下を記録し、市場へのサプライズになった。個別の細かい内訳では底堅さがあるものの、ヘッドラインの数字が大幅に低下したことにはインパクトがあった。