ワクチンをめぐる倫理的な問題も。写真はブラジル・サンパウロにあるシノバックの施設(写真:ロイター/アフロ)
ワクチンをめぐる倫理的な問題も。写真はブラジル・サンパウロにあるシノバックの施設(写真:ロイター/アフロ)

 世界全体の新型コロナウイルスの感染者数は2億2000万人に近づいている。米国は4000万人に接近。インドは3000万人を突破しており、ブラジルは2000万人台。これら3カ国にフランス、英国、ロシア、トルコを加えた計7カ国で、感染者は1億2000万人を超えている。

 日本国内の新型コロナ感染者数はすでに150万人を超えており、病床逼迫の面を中心に危機感が強い。東京都の新規感染者数は、今回の「波」では8月13日の5773人がピーク。先行指標と考えられる発熱相談件数に連動して7日間移動平均は頭打ちになり、足元では減少してきている。

 とはいえ、PCR検査が必要な人数に対して迅速な対応ができておらず、把握されていない多数の感染者が存在する可能性があるとの指摘も、猪口正孝・東京都医師会副会長などから出ている。

 これから冬場にかけて日本の内外で、新型コロナウイルスの感染状況はどうなっていくのか。感染者数の推移などを事前に正確に予測するのは困難だが、以下の5つの点をリスクとして認識する必要があるだろう。

まだまだ増える変異ウイルス

(1)北半球が冬場の寒冷な気候になっていくと、人々の活動の場が屋外から、空気が滞留しがちな屋内へとシフトすることにより、ウイルス感染が拡大しやすくなること。

(2)昨年の冬の場合は、懸念された新型コロナとインフルエンザの同時流行は起こらなかったが、今年はどうなるかわからないこと(医療機関への負担に直結する話)。

(3)学校の授業や諸活動が再開することで、感染拡大の機会を増やす恐れがあること(子どものワクチン接種率は低い。クラスター発生、家庭への「持ち帰り」など)。

(4)ワクチン接種などで体内に形成された抗体が、時間の経過とともに減少していくこと(一部の国では「ブースター接種」を開始しているが、倫理上の問題を指摘する声も)。

(5)感染力が強い「デルタ型」を上回る脅威になる、新たな変異ウイルスが出現する可能性。

 上記(5)の変異ウイルスでは、世界保健機関(WHO)が「懸念すべき変異型(VOC)」 に分類しているのが、アルファ型、ベータ型、ガンマ型、そしてデルタ型の4種類。また、「注目すべき変異ウイルス(VOI)」 に分類しているのが、イータ型、イオタ型、カッパ型、ラムダ型、そして1月にコロンビアで最初に確認されたミュー型である。日本でも6月~7月に空港検疫でミュー型が女性2人から検出されていたと、厚生労働省が9月1日、発表した。

 以上のほかに、南アフリカで5月に検出された新たな変異ウイルス「C.1.2」に関する査読前の論文が8月に公表されており、執筆者の1人は免疫を逃れる能力がデルタ型よりも高い可能性があると指摘した。WHOはこのウイルスを現時点ではVOCに分類していないが、注視するとしている。

続きを読む 2/3 ゼロコロナか、ウィズコロナか

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