悩み深き中高年(写真:PIXTA)

 今回の掲載でこのコラムは第400回になった。お読みいただいている皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げたい。ネタ切れの恐怖と闘いながら8年くらい続けてきたわけだが、この先いつまで続けられるかは、現在58歳の自分にも正直わからない。

 節目に到達した今回は、中高年の会社員のかなりの数にとって実に重いテーマである「役職定年」を取り上げたい。

 役職定年というのは、企業の従業員が一定の年齢に達すると自動的にラインの管理職から外される制度のことであり、それに伴って給与水準が何割か削減されるのが通例である。

 人事院の調査によると、大手では1980年代以前から導入した企業もあるが、①おおむね1980年代から行われた55歳定年制から60歳定年制への移行に際して、主に「組織の新陳代謝・活性化の維持」「人件費の増加の抑制」などの狙いで導入されたケースと、②90年代以降に「職員構成の高齢化に伴うポスト不足の解消」などの狙いから導入されたケースの2つが多いのだという。

 経団連が236社・団体を対象として2015年5~6月に実施し、翌16年5月の報告書で明らかにした調査結果によると、役職定年制の導入割合は48.3%で、うち3.3%が廃止を検討。14.2%は実際に廃止した。一方、この制度の導入を検討している先が5.8%になった。

実感する「役職定年」の深刻さ

 「制度を廃止した」「廃止を検討している」場合の理由(複数回答)で最も多かったのは、「年齢にかかわらず意欲・能力のある人材に管理職として活躍し続けてもらうため」(71.4%)である。以下、「仕事・役割・貢献度等の変化に応じ、随時ポストの見直しを行う人事制度を導入したため」(38.1%)、「役職定年後にモチベーションが低下する従業員が多かったため」(23.8%)などが続いた。

 では、何歳になると役職定年に「引っかかる」のか(こういう言われ方をする場合が多い)。上記の経団連の調査によると、最も多かったのは55歳(17社)で、次が57歳(14社)。最低年齢が52歳(1社)で、最高が63歳(1社)である。筆者が見聞きしてきた範囲内で言うと、金融機関やメーカーでは53~55歳が多いようである。

 筆者自身に関することに触れるのはここでは避けておくが、同年代の友人・知人と話していると、実に深刻な問題であることがひしひしと伝わってくる。

 同じ仕事を続けており、相応に実績を上げ続けているにもかかわらず、役職定年の年齢に達すると、十把ひとからげにポストはく奪・賃金カットという「処分」に直面してしまうのである。子どもが大学を出て就職していればダメージは軽いが、筆者の友人のように長男が理系の大学に在学中で、しかも大学院志望だったりすると、家計の今後の資金繰りは重大な問題になってくる。奥さんが働きに出たり、スマホの機種変更をためらっていつまでも古い機種で我慢したりという、苦難の日々に突入するわけである。

 そうした会社の人事給与制度を事前にきちんと考えた上で人生設計すべきだったのでは、という声も出てくるだろうが、なかなか思った通り、考えた通りには進まないのが、現実の人生である。

続きを読む 2/3 日陰の制度のままでいいのか

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