コロナ病床の確保が課題(写真:AP/アフロ)

 米ジョンズ・ホプキンス大学の調べによると、新型コロナウイルス感染者数は、世界全体で約1億3647万人に達している。死亡者数は約294.4万人で、感染者数の2%強である(日本時間4月13日10:00現在)。

 これに対し、日本のみの計数は、感染者数が約50.8万人。死亡者数は約9400人で、感染者数の2%未満である。そのようになっている原因については諸説あるが、数字の上だけから言えば、このウイルスとの戦いにおける日本のパフォーマンスは悪いわけではない。

 一方、このウイルスに有効とされる海外製ワクチンの調達および接種の進捗状況で、日本は明らかに出遅れている。また、突然変異によって感染力が増したとみられる変異ウイルスが猛威を振るい始めた兆候があり、この先の状況は安易な楽観を許さない。4月前半には大阪府の新規感染者数が東京都のそれを上回るようになった。

 菅義偉首相は4月12日の衆院決算行政監視委員会で、大阪府内の新型コロナウイルス感染状況に関し、1月に緊急事態宣言を再発令した当時と比べて「今の方が厳しくなっている」と明言。「世界規模の波は想像を超えて厳しい。国民に緊張感を持って対応いただくことが極めて重要だ」とし、12日から6都府県へと適用範囲が拡大された「まん延防止等重点措置」の徹底により感染拡大防止に努める考えを示した。

東京オリンピックは風前のともしびへ

 ただし、日本が感染「第4波」にすでに見舞われているかどうかについては、「全国的には大きなうねりとまではなっていない」と述べて、否定的な認識をあらためて示した。逆に言うと、変異種の跋扈(ばっこ)により感染拡大の波が広範囲にわたった場合、政府としても「第4波」が到来したことを認めざるを得なくなり、3度目の緊急事態宣言の発令が濃厚になる。その場合には、7月23日~8月8日に予定されている東京でのオリンピック、さらに8月24日~9月5日予定のパラリンピックの開催は、いよいよ風前のともしびの様相を呈してくる。

 ワクチン接種が順調に進んでいる英国では、経済および社会は段階的に正常化に向かっている(図1)。一方、南米チリでは、ワクチン接種が米国を超えるペースで順調に進んできているにもかかわらず、感染拡大の新たな「波」が襲来している。感染力が強いとされる英国型の変異ウイルスが流入して「ロックダウン(都市封鎖)」を再度実施するなど苦闘している、フランスやドイツなど欧州大陸の国々もある。

■図1:新型コロナウイルスワクチンの接種率(最低1回)
(出所)Our World in Data

 チリの状況を報じた4月9日の英経済紙フィナンシャル・タイムズは、ワクチン接種の進捗でも新たな感染の「波」がやってきた理由として、(1)感染力が強い新たな変異ウイルスの広がり、(2)夏季休暇が3月に終わった後の人の移動の活発化、(3)ワクチン接種を背景とする人々の気の緩みなどから社会的距離が守られにくくなったこと、の3点に加えて、(4)接種されたワクチンのうち9割が中国のシノバック製であることを挙げた(ブラジルのブタンタン研究所によると同国での後期臨床試験で示されたこのワクチンの有効性は50.4%にとどまる)。

続きを読む 2/3 「徴医制」を提唱した竹中平蔵氏

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