3月下旬、中国の王毅国務委員兼外相がイランを訪問(写真:AP/アフロ)

 サウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国の協議体である「OPECプラス」の姿勢が、4月に入り、ようやく軟化した。世界市場に対する原油供給量は5月から増える見通しである。3月8日に一時1バレル=67.98ドルまで高騰していた米原油先物は、地政学リスクに絡む突発的な事象でもない限り、当面落ち着いて推移すると見込まれる。4月5日の取引で同先物は1バレル=58ドル台に急落した。

 4月1日の会合でOPECプラスが決定したのは、原油協調減産の段階的縮小である。日量で5月と6月に35万バレル、7月に44. 1万バレルと減産幅が縮小される。さらに、OPECの事実上の盟主であり市場への影響力が大きいサウジアラビアは、協調減産とは別に実施している日量100万バレルの自主的な原油の減産を、5月に25万バレル、6月に35万バレル、7月に40万バレル縮小し、すべて終了することをアナウンスした。

 3大産油国のうち、サウジアラビアが減産継続による価格下支えの意向が強い一方で、ロシアは緩やかな増産に前向きとみられてきた。この間、米国では、原油価格上昇でシェール会社の採算が好転しており、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが4月1日に公表した同日まで1週間の米国内石油掘削リグ稼働数は337基に増加した(2020年4月以来の水準)。

 今回のOPECプラスに関しては、5月はまだ協調減産を縮小しないことが決定されるだろうという見方が、直前まで市場では支配的だった。ところが実際は、サウジアラビアの姿勢が変わり、上記の通り、減産幅縮小で決着した。

 そのきっかけになったとみられているのが、OPECプラスに先立つ、米国のグランホルム・エネルギー長官とサウジのアブドルアジズ・エネルギー相の電話会談である。関係筋によると、OPECプラス開始24時間前に議論は協調減産の段階的縮小へと傾いたが、そうした潮目の変化と米・サウジ協議のニュースはタイミングが重なったと、ロイター通信は報じた。

 ここで、米バイデン政権が最近見せた中東関連の主な動きを列挙すると、以下のようになる。

中東関連で気になる動き

◇2月4日、バイデン大統領が、サウジ主導のイエメン内戦介入軍事作戦への支援を停止すると発表。

◇2月5日、米国務省当局者が、イランが支援するイエメンの武装組織「フーシ派」の外国テロ組織への指定を撤回する意向を議会に通知したことを明らかにした。

◇同日、ブリンケン米国務長官が、ファイサル・サウジ外相と電話会談。バイデン政権は人権問題やイエメン内戦終結などを重視していると伝達したと、翌6日に国務省が公表した。

◇2月25日、バイデン大統領が、サルマン・サウジ国王と電話会談。著名女性人権活動家をサウジが釈放したことを評価しつつも、人権問題を重視していく構えを示した。

◇2月26日、米政府が、カショギ氏殺害事件へのムハンマド皇太子関与を示す情報機関報告書を公表した。ムハンマド皇太子はサウジアラビアの事実上の最高権力者である。カショギ氏殺害事件というのは、米紙ワシントン・ポストにサウジの政権を批判する論説を寄稿した同国のジャーナリストであるジャマル・カショギ氏がトルコ・イスタンブールのサウジ領事館内で18年に殺害された事件だ。バイデン大統領は同日のインタビューで、「彼らに人権侵害の責任を負わせる。私たちと関係を望むなら、人権侵害に対処しなければならない」と強調した。

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