3月3日、金融政策運営に「環境の持続可能性や温暖化ガス排出量実質ゼロへの移行の重要性も反映する」と話した英国のスナク財務相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
3月3日、金融政策運営に「環境の持続可能性や温暖化ガス排出量実質ゼロへの移行の重要性も反映する」と話した英国のスナク財務相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 中央銀行が課される最大の責務・使命は「物価安定」であるのが一般的である。国によっては「物価安定」と「最大雇用」の2つを前面に出すケースもある(米国、オーストラリア、ニュージーランドなど)。

 これらの国では、物価の安定がきちんと維持される範囲内で、マックスの雇用情勢改善を中央銀行は目指すとみなされており、重心はやはり物価安定の方にあるとみるべきである。

 日銀の場合はどうか。ホームページに掲載されている「教えて! にちぎん」には、「日本銀行の目的は、『物価の安定』を図ることと、『金融システムの安定』に貢献することです」と書かれている。しかし、両者は必ずしも並列ではない。

 日本銀行法は、第1条第1項で「銀行券の発行」「通貨及び金融の調節を行うこと」、第2項で「信用秩序の維持に資すること」をその「目的」とすると規定した上で、次の第2条で、日銀がそうした調節を行うに当たっての「理念」は「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」であると記している。

日銀の最大の責務は「物価安定」

 「理念」が「目的」よりも上位にあるとみれば、日銀の最大の責務はやはり「物価安定」であり、プルーデンス政策や金融市場調節はそれよりも下位にあると解釈すべきだろう。

 言い換えると、金融政策運営で物価安定よりもバブル対応が優先されることはない。かつては「バブル潰し」のために日銀が金融引き締めを重ねた時期があった。だが、その後の経緯から明らかに失敗だったことが、他の先進国の金融政策運営にも影響を与えてきた面がある。

 足元の内外株価は「官製バブル」の様相を呈しているが、だからといって、例えば米連邦準備理事会(FRB)が株価高騰に歯止めをかけるため金融政策の「本線」部分で引き締め方向の措置をとることはないだろう。資産価格・金融システム対応はあくまでマクロプルーデンス政策など各種規制で対応していくという切り分けである。

 そうした中、中央銀行の責務・使命を事実上増やそうとする方向の動きが複数出てきている。

 ニュージーランドのロバートソン財務相は2月25日、同国の中央銀行であるニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)が金融政策を決定する際には住宅価格への影響を考慮することが義務付けられたと発表した(3月1日施行)。

続きを読む 2/3 中銀に協調求める英国

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