米疾病予防管理センター(CDC)は20年11月6日、妊娠している女性は同じ年齢層の妊娠していない女性と比べて、新型コロナウイルスに感染した場合に重症化や死亡のリスクが高いとする調査結果を公表した。日本の新聞は報じなかったようだが、この報告書に関する投稿記事を「フォーブス・ジャパン」が和訳して紹介した。

 新型コロナウイルスが妊婦に及ぼす影響については「研究の空白」があったので、これを埋めるため、CDCは大規模な調査を実施。PCR検査で新型コロナウイルスの陽性反応が出ており症状も現れていた15~44歳の女性40万人以上(うち妊婦は2万3434人)からデータを収集して分析した。その結論は、「妊娠していて新型コロナウイルスに感染してしまうと重症化するリスクが大きくなる」というものである。原因は、妊娠中に起こる生理的な変化(心拍数や酸素消費量の増加、肺活量の減少、免疫システムの機能低下など)ではないかという。

 さらに、CDCが同じ日に結果を公表した、新型コロナウイルスが出産と新生児に及ぼす影響に着目した小規模な調査によると、新型コロナウイルスに感染した妊婦から生まれた約4000人の新生児のうち早産(37週未満)は12.9%で、一般的な早産の比率(10.2%)よりも高かった。また、この調査で新型コロナウイルスの検査を受けた新生児610人のうち、陽性反応が出たのは2.6%だった。ただし、どのようにして感染したのかは分かっておらず、陽性だった新生児の大半は新型コロナに感染してまもない母親から生まれたという。

妊婦が胎児にうつす可能性は低い

 20年12月27日にはCNNが、米医師会誌「JAMA」に掲載された米ハーバード大学医学部の研究者グループが執筆した論文について報じた。妊娠中の女性が胎児に新型コロナウイルスをうつす可能性は低いという結論であり、出産を考えている人には一安心の内容である。

 この論文では、米マサチューセッツ州総合病院の母体胎児学を専門とする医師らがボストン市内の3つの病院に入院した妊婦127人から得たデータを活用した。64人にPCR検査で陽性反応が出たものの、胎児については陽性反応が出なかったという。専門家はこの結果について、妊娠後期に新型コロナウイルスが胎盤を通じて胎児にうつることはなさそうなことを一部確信させる材料になったとしつつも、最終的な確認にはさらなる研究が必要とつけ加えた。

 SNS(交流サイト)などには、新型コロナウイルスが妊婦・胎児に及ぼす影響に関してさまざまな情報があり、不安心理をぬぐい去るのはなかなか難しいといった心境が書かれたものもあった。

 少子化の原因は、経済的な側面に加え、社会規範やライフスタイルの変化などもあって、複合的である。そうした中で、新型コロナウイルスにまつわる不安だけを解消すれば足りるというわけではないものの、このウイルスへの対応で巨額の予算を投下している状況下、妊娠・出産に関連する幅広い情報の整理・提供を国・地方が充実させるための予算上の余力は、十分に備わっているはずだろう。

 人口減・少子高齢化は、将来の経済的繁栄の基礎になる部分を確実に損なう、極めてネガティブな事象である。出産適齢期とされる女性の絶対数減少など日本の人口構成から考えて、少子化対策はもはや手遅れの感が強い上に、海外からの人材・観光客受け入れという打開策も新型コロナウイルスの感染拡大でブロックされてしまっている。だがそれでもなお、政府としてできることは極力やっておくべきではないだろうか。

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