今年は何が起こるだろうか(写真:PIXTA)

 新しい年、2021年の内外経済や金融市場は、どのように推移するだろうか。

 端的に言うと、どうしても「コロナ次第」だというのが答えになる。敷衍(ふえん)すると、景気・物価がたどるコースは前年に引き続き、新型コロナウイルスとの闘いの行方次第という面が、どうしても大きい。感染拡大阻止のため規制を強化して人の移動を止めると、経済が急激に悪化する。だが、経済活動を重視して人の移動への規制を緩めると、ウイルス感染拡大が加速する。このジレンマに、各国の当局は21年も悩まされ続けるだろう。

 春以降とみられる一般の人々を対象にしたワクチン接種は、はたして順調に進むのか。このウイルスの変異種が日本や英国などで確認されており、感染力がアップしていることが明らかになっているが、今後も変異が起きる過程で、認可済みのワクチンが効かないウイルスが生じることはないのか。ワクチンで体内に形成された抗体が短期間で消えてしまうことはないのか。

 そういったさまざまな疑問を伴いつつ、新型コロナウイルスとの闘いは新たなステージに移行しつつある。このウイルスに有効とみられるワクチンが米欧などで開発されて、すでに一部の国では認可を受けて優先接種が開始されている。

 だが、楽観は禁物だというのが筆者の見方である。当コラムでもすでに指摘したことだが、世論調査の結果などから考えて、ワクチンの接種率はなかなか上がらないだろう(2020年12月1日配信「『コロナワクチン』の予防接種率は内外で本当に上がるのか?」ご参照)。

 感染拡大の連鎖が食い止められる「集団免疫」と呼ばれる状態に至るには、抗体保有者の比率が65~70%以上になる必要があるというのが専門家の見解である。そして、そこまで持っていくためには、ワクチン接種を受けた人の比率が70~90%まで上がることが必要ではないかと、米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長が述べている。言うまでもなく、これはハードルがかなり高い話である。

 日本記者クラブで講演した東京大学医科学研究所の石井健教授によると、感染者がほとんど現れなくなるなど社会的にワクチン接種の効果が実感できるようになるまでには「最短でも4~5年」はかかり、「すぐに今の生活スタイルが不要になるとは考えづらい」という。実に厳しい見方である。

 一方、金融市場の方では、各国の中央銀行が今回のコロナ危機への対応、さらには2%前後という高過ぎる水準に設定されたインフレ目標をなんとか達成するための努力として、超金融緩和を数年単位で長引かせる方針をすでに明らかにしている。このため、金利は低水準での推移をこの先少なくとも数年は継続する可能性が高い。

株価は「官製バブル」で高値圏での推移

 では、株価はどうだろうか。結論を先に言えば、「官製バブル」と形容できる、高値圏での推移を続けると見込まれる。

 20年12月17日の米株式市場で、ダウ工業株30種平均、S&P500種、ナスダック総合指数の主要3指数が、史上最高値をそろって更新した。追加経済対策への期待感や、新型コロナウイルスに有効とされるワクチンの認可・接種開始が買い材料になったとされたが、根っこで最近の世界的な株高の原動力になっているのはやはり、「カネあまり」状況は今後も続いていくはずだという、市場に漂う強い安心感である。

続きを読む 2/3 株価は景気・物価先行きのシグナルに使えない

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