新型コロナウイルスは、何をどう変えているのだろうか。これまでに起こっていることを4つの角度から筆者なりに整理してポイントを並べると、以下のようになる。

(1)新型コロナウイルスとの闘いは、このまま長引く方向

→ 世界の感染者数は4000万人を突破しており、死亡者数は100万人を超えた。
→ この「パンデミック」を早期に食い止めるには、ウイルスに有効なワクチンが必要。
→ 感染や予防接種から抗体を有する人が一定割合以上なら、感染拡大は止まる。
→ だが、米欧でのワクチン開発に足踏み感。広範な接種実施は21年以降の見通し。
→ また、ワクチンができても、抗体が体内で持続するのは数カ月にとどまる可能性。
→ さらに、副作用への懸念などから予防接種を拒否する人も一定数出てくる見込み。
→ 当初言われた「短期間での収束」シナリオは破綻。危機は長引く公算が大きい。

(2)ライフスタイルの変化(「新常態」「新しい生活様式」)は、多くが不可逆的か

→ 日本を含む各国政府は早い段階で、「ウイルスと共存」する覚悟を国民に求めた。
→ それは、「対面」から「オンライン」へのシフトなど、働き方の大きな変化を含む。
→ 「社会的距離」維持により、飲食などサービス関連業種の売上高に物理的制約。
→ 感染リスクを人々が意識して自主的に行動を控えることも、サービス消費を圧迫。
→ 需要が新たに創出される分野もむろんあるが、全体では需要減少要因が勝る。
→ 政府はそうした中で、資金繰り支援などにより、供給サイド下支え(温存)を図る。
→ 需要減少と供給維持の組み合わせになり、物価に下落圧力が加わることになる。
→ 供給サイドをスリム化する構造改革の主張もあるが、政治の現実から実行困難。

重苦しい秋冬は避けられない

(3)「だましだまし」の対応で「時間稼ぎ」を図る政府の戦術は徐々に苦しくなってきた

→ ウイルス感染拡大阻止と経済活動継続は両立しにくい。当局はジレンマに直面。
→ 感染拡大阻止を優先して「ブレーキ」を強く踏むと、景気が断続的に悪化する。
→ それを「ロックダウン」や非常事態宣言で学んだ当局は、再発動に否定的な姿勢。
→ 狭い地域に限定するなどの「だましだまし」の感染拡大阻止策で、乗り切りを図る。
→ だが、「ウイルスに国境はない」ので、人が行き来していると「感染第2波」発生。
→ 欧州ではアイルランドのように2度目の「ロックダウン」に踏み切る国も出てきた。
→ ワクチン完成までの「時間稼ぎ」で対応してきた各国当局は徐々に苦しい立場に。

(4)景気支援目的の財政出動、中銀による「マネタイゼーション」には、終わりが見えず

→ 供給サイド温存、人々の所得補てんなどの狙いで、各国は大規模な財政出動。
→ ワクチン完成で危機が収束するまでの時限措置のはずだったが、雲行きは怪しい。
→ 国債発行急増を放置すれば金利上昇から景気にネガティブなので、中銀が購入。
→ 各国中銀の事実上の「マネタイゼーション」は、危機対応の緊急措置の位置付け。
→ だが、危機が長引くと金融政策の財政への従属は、もはや動かし難い「常態」に。
→ 高過ぎる物価目標の存在もあり、超低金利政策は内外で「エンドレス」の様相。
→ 中央銀行の量的緩和拡大による「カネ余り」も続き、株価は高値圏で不安定に上下動。

 どうにも重苦しい秋冬が到来しているわけだが、そうした中で景気指標の改善が目立っているのが、武漢発で最初にコロナ禍に見舞われたものの、習近平政権による強権的な対応策によって最初にコロナ禍から脱したとみられている、中国である。