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新型コロナウイルス感染拡大に、各国で警戒が高まる(写真:AP/アフロ)

 北半球が冬場に向かう中で、新型コロナウイルスの感染者数が増加を続けている。世界全体ではすでに4000万人を突破。最も多い米国では900万人前後に達しており、中西部を中心に増加ペースが加速。スペイン、フランス、英国、ドイツなどの西欧諸国には「感染第2波」が押し寄せている。

 その一方で、このウイルスに有効なワクチン開発は足踏み状態となっており、今回の新たなタイプの危機が越年することは、もはや避けられそうにない。

 イベント開催中止に関する報道では、ニューヨーク・ブロードウェーのミュージカル公演中止が21年5月末まで、ニューヨーク・フィルハーモニックの休演が同年6月まで、それぞれ延長された。ちなみに、1年先延ばしになった東京五輪の開会式は7月23日の予定である。

 多くの国の政策当局は引き続き、経済へのダメージがあまりにも大きい「ロックダウン(都市封鎖)」ないしそれに近い経済活動停止措置の再発動をためらっており、エリアや対象業種を絞り込んだ部分的な「ブレーキ」を踏みながらの「だましだまし」の対応で、「時間稼ぎ」を図っている。だが、頼みの綱であるワクチンの完成・承認・普及が早期に実現する見通しは立っておらず、当局は徐々に苦しい立場に追い込まれている。

 そうした中、「感染第2波」の到来に苦慮する欧州発のニュースに、「ロックダウン」という言葉が再び登場するようになった。

 アイルランド政府は10月19日、2度目のロックダウンを21日から6週間導入すると発表した。ウイルスへの警戒度が最も高い「レベル5」への移行である。日常生活において不可欠ではない小売店は閉鎖され、レストランやパブはテークアウトのみの営業になる。人々の移動は自宅から5km以内に制限される。欧州でも有数の厳しい措置である。12月1日に「レベル3」に戻るのが狙いだとマーティン首相は述べた。キリスト教徒にとって重要なクリスマスよりも前に感染状況を落ち着かせたいのだろう。だが同首相は、21年になってからロックダウンがまた必要になる可能性を排除しなかった。

 英国では、連合王国の一員であるウェールズの地方政府が10月19日、17日間程度という短期間の「防火帯(firebreak)」ロックダウンを23日から実施すると発表した。ドレイクフォード首相(首席大臣)によると、効果が出ない場合でも11月9日に終了する。

 北アイルランドの地方政府も、すでにロックダウンを実施している。感染拡大に歯止めをかけるため、専門家の提言に沿い、全土で短期間の「サーキットブレーカー」ロックダウンを実施するよう、ジョンソン英首相がプレッシャーを受け続けている構図である。

ドイツでもロックダウンの動き

 ドイツでも、「ロックダウン」という言葉が政治家の口から出ている。南部バイエルン州のゼーダー首相は、マスク着用義務強化など一段の制限措置を決めた10月14日夜のメルケル独首相の記者会見に同席し、「2度目のロックダウンは思われているより近い」と警告した。そのバイエルン州では、感染者比率が非常に高いベルヒテスガーデナー・ラント郡で、20日から外出の大幅な制限や学校閉鎖などの措置が取られることになった。ゼーダー州首相はこれについて、「ロックダウンに相当する」と説明した。

 21日にはチェコが2度目の「ロックダウン」実施を発表。非常事態宣言を発動して感染拡大阻止策を強化したにもかかわらず、新規感染者数の増加が止まらないため、翌22日から11月3日まで、生活必需品などを除くほとんどの小売店の閉鎖や、人々の移動制限を実施することにした。

 28日にはフランスが外出制限を大幅に強化すると発表。ドイツは各種店舗の営業禁止など「ロックダウン・ライト(軽度のロックダウン)」とも呼ばれる措置に踏み切った。

 ワクチン待ちの「時間稼ぎ」戦術が行き詰まる状況下、自国内全域を対象とする「ロックダウン」を導入する国が欧州でこの先増えていくようであれば、日本を含む他の国々のウイルス対応策のかじ取りにも微妙に影響してくる可能性があるため、注意が必要である。