FNNプライムオンラインは4月22日、「『現金を触る』ことに“抵抗感”……新型コロナで衛生意識に変化 キャッシュレス化加速」と題した記事を掲載した。フィンテックのスタートアップ企業であるカンムが4月9~10日に実施した「お金に関する衛生観念と行動の変化」についてのアンケート調査に、新型コロナウイルス感染拡大を受けて金融のデジタル化がさらに進展しそうな結果が出ているという。

 それによると、硬貨や紙幣を触ったり、ATMを操作したりするときの衛生面が気になるようになった人が57%。具体的な声として、「自分自身がレジ打ちをしているが、紙幣をなめて出されるのが嫌」(30代)、「セルフレジが増えてキャッシュレス払いするときでも、タッチパネルが気になる」(20代)、「ATMで操作した後は必ずアルコール消毒している。なるべく現金に触れないようにしている」(40代)、「現金の方がわかりやすく使いやすかったが、キャッシュレスに移行しつつある」(50代)といった声が寄せられた。

 さらに、「事態が収束した後も、現在(2020年4月)の行動は定着すると思いますか?」との問いに対し、「思う」と答えた人は76%に達した。日銀からは、市中から還流してきた紙幣(日本銀行券)の殺菌について、特段のアナウンスメントは今のところないようである。

現金消毒を打ち出した中国人民銀行

 だが、海外ではいくつかの動きがあった。中国人民銀行の范一飛副総裁は2月15日に記者会見し、新型コロナウイルス対策で現金の衛生管理をする方針を示した。具体的には、新型コロナウイルスの打撃を受けた地域の現金は、紫外線で消毒するか、もしくは少なくとも14日間加熱・保管してから再び流通させる。

 リスクが低めの地域で流通した現金でも1週間の隔離が必要になる。また、商業銀行に対しては、病院や食品市場から入った現金を分離するよう要請している。さらに、新しい紙幣を大量に投入して市中で流通させるという。

 米国では、FRB(連邦準備理事会)の広報担当者が3月6日、新型コロナウイルス対策の一環として、アジアから還流したドル紙幣については米国内で流通させる前に7~10日間、各地区連邦準備銀行が手元に置いて検疫すると表明した。

 同じ日に韓国銀行(中央銀行)の幹部は、「ウイルスは通常9日で死滅するため、韓国銀行は今後2週間、市中銀行から回収したすべての現金について、安全を確保する措置をとる」と表明。市中から回収した紙幣について、この期間は再流通させないとした。

 同行では従前から、紙幣を再流通させる際には紙幣を高温で殺菌消毒している。通常はセ氏150度で2~3秒加熱し、袋詰めして42度に保つことで、十分な殺菌効果が得られているという。

 以上、海外の事例をご紹介したが、日本国内では「感染リスクを意識して現金を嫌う」行動パターンが広く観察されているとは、やはり思えない。電子マネーの1件当たり金額が急増した主因をそこに求めることには無理があるだろう。

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