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 今回の大綱に盛り込まれた施策の具体化を目指すプロジェクトチームが自民党内に近く設置されて、21年度予算案に向けて議論を加速させると報じられているが(6月5日付産経新聞)、どこまで予算編成に影響を及ぼすことができるかは未知数である。

 いわゆる「1.57ショック」の時は、平成バブル崩壊・銀行の不良債権問題に見舞われて、少子化対策(人口対策)には政府の手が回らないという「巡り合わせの悪さ」があった。今回も、新型コロナウイルスの感染拡大という、少なくとも数年単位の問題に直面してしまった結果、日本経済を長期的に考える際に最も重要な課題である人口問題は看過されやすくなっている。

 さらに言うなら、滞在人口が一時的に増加するという点でピンチヒッター的な役回りを担い、地方経済や関連業界を浮揚させてくれた外国人観光客によるインバウンド消費が、激減してしまっている。この先しばらくは頼りになるまい。

少子化対策は失敗した

 6月5日には厚生労働省から19年の人口動態統計が発表された。19年に生まれた子供の数は86万5234人で、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計よりも2年早く、90万人を下回った。合計特殊出生率は1.36(前年比マイナス0.06ポイント)。低下は4年連続で、1.36というのは12年ぶりの低水準である。政府が展開してきた少子化対策の失敗を示す数字であることは明らかだろう。

 政府・与党および野党は、予算の使い方を含む政策論議を展開する中で、広義の人口対策への目配りを欠かすべきではないというのが、筆者の主張である。3~5兆円が必要ということで政府が二の足を踏んだ児童手当拡充案についても、新型コロナウイルス対応での2度にわたる補正予算での大盤振る舞いを見ていると、国民に対する政府からのしっかりしたアピール次第では、予算面の手当てはどうにかなるのではないかという気もしてくる。

 そうした中、5兆円という大きな財源が、事態の展開次第では宙に浮いた形になる可能性が出てきている。20年度第2次補正予算に計上された10兆円という巨額の「新型コロナウイルス感染症対策予備費」の半分である5兆円が、最終的には不用額(使い残し)になる可能性である。

 この巨額の予備費計上については野党が国会で問題視したことから世の中でよく知られるようになったわけだが、ここで経緯を整理しておきたい。

 5月27日に閣議決定された20年度第2次補正予算案には、「新型コロナウイルス感染症対策予備費」10兆円が含まれていた。20年度当初予算では、一般会計に使途を特定しない通常の予備費5000億円、特別会計に復興加速化・福島再生予備費3000億円が計上されている。だが2次補正では、新型コロナウイルス対策に使途を限定した予備費を、10兆円という非常に大きな金額で計上したわけである。その異例さは過去の予備費をグラフにしてみると一目瞭然である(図1)。

■図1:国の一般会計予算に計上された予備費
(出所)財務省、参議院予算委員会調査室