全4130文字
5月14日、ベトナム・ハノイ郊外の新型コロナウイルスに感染していた最後の村で、検疫のため設置していたバリケードを撤去する警察官(写真:ロイター/アフロ)

 当コラムで4月21日に配信された「新型コロナ対応の『優等生』は『台湾・韓国・ドイツ』」の続編をお届けしたい。日本の状況を考える際に、他国の成功例は参考になるはずである。今回は、アジアからベトナム、中東からイスラエル、中米からコスタリカ、以上3カ国を取り上げた。

(1)ベトナム
 ベトナムの人口は約9621万人(19年4月1日の国勢調査)と多いが、新型コロナウイルス感染者数は288人にとどまり、死亡者数はゼロである(5月12日時点、米ジョンズ・ホプキンス大学ホームページ)。他の東南アジア諸国などよりも、感染拡大の阻止ははるかにうまくいったと言える。初期の段階から感染者の隔離や濃厚接触者の追跡を徹底したことが、功を奏した。

 1月23日にベトナム国内で初の感染者が中国・武漢出身と判明すると、政府は大半の中国人へのビザ発給を停止した上で、企業に対して中国人労働者を寮やホテルに隔離するように指示。2月までに5000人以上の中国人が隔離された。さらに、3月には軍の施設や大学の寮を改修して約6万人分の隔離施設を用意。入国者は14日間ほぼ強制的に施設に滞在させられたほか、感染者が出たアパートの住民なども施設に入れられて、一時は最大8万人が施設に隔離された(5月6日付読売新聞)。

「要請」は日本と同じ

 さらに、ベトナム政府は4月1日から、「社会隔離」と名付けた外出制限を開始して、不要不急の外出や、公共の場所において3人以上で集まることを避けるよう国民に要請した。この要請は当初は同月15日までの予定だったが、首都ハノイや南部の商都ホーチミンなど12の特別市と省で22日まで延長され、23日に原則として緩和された。

 「この措置を『禁止命令ではなく要請』と説明」した点は日本の緊急事態宣言と同じなのだが、「ハノイでは公園にロープが張られ、バスやタクシーも営業を停止。市当局の関係者や警察が外にいる市民を尋問する」状況だったと報じられており(4月21日付朝日新聞)、日本と比べてベトナムではかなり厳しく運用されたことがわかる。

 筆者は当初日本でも、警察官によって職務質問に類似した形で外出抑制を促すプレッシャーがかけられるのではないかとみていた(当コラム4月14日配信「『新型コロナ後』日本は『グリーンゾーンの国』になる?」ご参照)。だが、実際にそうした経験をしたという話は聞こえてこない。

(2)イスラエル
 イスラエルの人口は約902万人(19年4月時点)で、新型コロナウイルス感染者数は1万6529人。感染者数が目立って少ないわけではないが、死亡者数は260人にとどまっている(5月12日時点 米ジョンズ・ホプキンス大学HP)。