今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有しており、ハト派の論客として知られているカシュカリ・ミネアポリス地区連邦準備銀行総裁は4月12日、米CBSテレビの番組に出演し、「治療薬あるいはワクチンが入手できるようになるまで、(新型コロナウイルス)感染の再燃と対策強化を繰り返すことになるかもしれない」と述べた。

「米経済には今後18カ月にわたり波が押し寄せる」

 冒頭で述べたように、トランプ大統領はやや焦り気味に経済活動の再開を視野に入れ始めている。だが、カシュカリ総裁は厳しい見方である。治療薬が向こう数カ月で市場に出回るようにならない限り、米経済が早期に回復するとの予想は過度に楽観的だと指摘した(4月12日付ロイター)。

 その上で同総裁は「世界の状況を観察している。経済活動のコントロールを緩めるのに伴い、ウイルス感染は急に再拡大する」(4月13日付ブルームバーグ)として、米経済には今後18カ月にわたり「波」が繰り返し押し寄せる可能性があるとした。

 「今年前半の経済は急激に悪化しても、ウイルスの流行さえ収まってくれれば年の後半にはV字型のパターンで急回復するはずだ」。1カ月ほど前まで金融市場でいわれていた楽観論は、最近ではほとんど聞かれなくなった。新型コロナウイルスという人類の新たな「敵」の正体がいまだによく分からず、対処法も試行錯誤の繰り返しでは、市場が悲観論に傾くのは当然だろう。

 カシュカリ総裁が指摘した通り、今年後半以降の世界経済は上向きの角度がきわめて緩やか、もしくはフラットに近い中で、「波」を何度も形成するのではないか。筆者はそのように考えている。

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