◆新型コロナウイルスの抗体を検査するキットは開発されたばかりであり、出てくる結果の信頼性はまだ高くない。

 抗体検査ではなく、感染の有無を調べるPCR検査をしつつ、状況の全体像を把握しようとする試みもある。欧州ではオーストリアが4月1~6日に、新型コロナウイルスに感染している人の数を推定するため、無作為に選んだ国内に住む0~94歳の1544人を対象にしてウイルスの遺伝子の有無を調べるPCR検査を赤十字などと共同で実施した。

 その結果が10日に発表された。陽性と判定された人は、全体の0.3%にすぎなかった。ファスマン科学相は「陽性率が1%以下だということは免疫のある国民はまだ少なく、これから感染が再び拡大するおそれがある。こうした調査はヨーロッパ大陸では初めてで、今後のモデルになるだろう」と述べた(4月12日放送NHK)。

 こうした中、京都新聞は4月15日、iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授のインタビュー記事を掲載した。インターネット上のニュースサイトに転載されたので、京都在住の方以外で読まれた方も少なくないだろう。重要であり説得力が高いと筆者が考える部分を引用したい。

「1カ月では元通りにならない」

 「緊急事態宣言も1カ月頑張ろうというニュアンスで発信されていると思うが、心配している。1カ月だけの辛抱だと多くの人が思っている気がする。僕は専門家ではないが、かなりの確率で1カ月では元通りにならないと確信を持って言える」

 「(感染者数の拡大が収まるにはどのようなケースがあり得るかとの問いに)3つしかない。1つは季節性インフルエンザのように気温などの理由でコロナウイルスが勢いをなくすこと。だが気温にかかわらず世界中でまん延していることからすれば、そうでない可能性は高い。

 そうなると後は2つ。ほとんどの人が感染して集団免疫という状態になるか、ワクチンや治療薬ができることだ。ワクチンや治療薬は1年ではできないのではないか。最低1年は覚悟しないといけない。ダッシュと思って全力疾走すると、まだ(ウイルスが社会に)残っているのに力尽きることになってしまう」

 トランプ大統領と見解が異なる場面が目立つクオモ・ニューヨーク州知事は4月14日の記者会見で、「経済活動の再開が早すぎると思わぬ影響が出る」と述べていた。筆者もその通りだと考える。

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