◇「企業金融支援のための措置」
 ①「新型コロナウイルス感染症にかかる企業金融支援特別オペ」を導入することになった。民間企業債務を担保に最長1年の資金を金利ゼロ%で供給するもので、2020年9月末まで実施する。

 ②「CP・社債など買い入れの増額」。追加買い入れ枠を合計2兆円設けて、CPなどは約3.2兆円、社債などは約4.2兆円の残高を上限に購入することになった(これまでは、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持するとなっていたので、天井が1兆円ずつ上昇した形)。この増額措置も20年9月末まで実施する。

 ③「ETF(上場投資信託)・J-REIT(不動産投資信託)の積極的な買い入れ」。当面、ETFは年間約12兆円、J-REITは年間約1800億円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的に購入するとした。

 これは、それぞれ購入目標である年間約6兆円・年間約900億円の保有残高増加ペースという「原則的な買い入れ方針」(脚注3に書かれている表現)は変えず、柔軟運用で当面の買い入れ額を増やす場合の天井をあえて倍額に設定して「大きな数字」を見せる意図がある。それにより、市場へのインパクト(=株価急落時のバックストップとして日銀の存在があることに対する安心感を醸成)を狙ったものだと、筆者は受け止めた。

 追加緩和手段の面で手詰まり感が非常に強い中でも、新型コロナウイルス感染拡大で日本を含む世界経済全体が「新しいタイプの危機」に直面している中で、「やっている感」を漂わせる必要に迫られた日銀は、上記のように無難な回答を並べたと言えるだろう。

 なお、ECB(欧州中央銀行)と同様に日銀もマイナス金利深掘り(利下げによるマイナス金利幅の拡大)をしなかったことに、意外感は全くない。経済にとって有害な措置は、この危機局面ではなおさらタブーである。

 次の日銀金融政策決定会合の開催予定日(4月27~28日)まで1カ月を切った。日銀は次は何をしそうなのだろうか。現時点で筆者が考えていることを述べておきたい。

◇3月のような会合繰り上げはあるのか?→「政府との協調アピール」でその可能性も
 今後の情勢次第では会合繰り上げがまたあり得ると、筆者はみている。すでに述べたように、3月の金融政策決定会合は当初18~19日の予定だったが、FRBが15日に急きょ動いた後で、16日に前倒し招集された。

 これは、G7(主要7カ国)やG20(主要20カ国)による政策協調の証しとして説明できると同時に、米国の大胆な金融緩和をうけて為替が円高・ドル安に大きく動くことのないよう、日銀も緩和に動いていることを市場にデモンストレートしておくことを狙った動きだったと推測される。

 仮に、4月も会合日程の繰り上げがあるとすれば、今度は国内事情からだろう。政府は4月の早い段階で大規模な緊急経済対策を打ち出す見通しで、大規模な赤字国債増発を含む20年度補正予算案編成を前提としたものになりそうである。そうした政治(財政)の動きに呼応して、おそらく長期国債買い入れのペースアップによって、日銀が協調姿勢をアピールできる機会が生まれようとしている。

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