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フィットネスクラブの売り上げにも影響が(写真:PIXTA)

 2月10日に経済産業省から発表された昨年12月の特定サービス産業動態統計調査速報で、消費マインドの動向を探る上で役に立つ身近な指標として筆者がウオッチを続けている「フィットネスクラブ」売上高は、前年同月比マイナス0.6%になった。その後に発表された確報でも同じ数字。マイナスはこれで10月から3カ月連続になった<図1>。

■図1:特定サービス産業動態統計調査 フィットネスクラブ 売上高合計
(出所)経済産業省

 実は、19年の3~5月にも3カ月連続で売上高が前年同月を下回ったのだが、このケースは公表資料上で4月が前年同月比0.0%と表示されていた。厳密にはマイナス0.014%なのだが、端数処理された。今回は文句なしの連敗記録である。

 昨年10月については大型台風が襲来してクラブの営業が休止した影響があるため、利用者数が減少したことにはやむを得ない面があった。その後、11月と12月には利用者数が前年同月を上回った。

 ところが、売上高の方は、11月も12月もマイナス圏の数字になった。クラブにある食堂・売店売上高の大幅な前年割れが続いたことが、発表資料から分かる。そのほかに、料金がより安い(利用者から見ればコストパフォーマンスがよい)クラブに移る動きがあって、それが影響したのではないかとも推測できる。

 フィットネスクラブに対する支出は、義務的支出ではなく選択的支出に含まれる。だが、高齢化社会が到来して健康志向が強まる中、消費マインドが総じて慎重化して支出金額が絞り込まれていく際も、最後の方まで残りやすい費目だと考えられる。

 健康を維持するためには一過性でなく、習慣になるほどの継続的支出が求められるという事情もある。したがって、こうした支出まで今回のように絞り込まれるなら、消費意欲の慎重化が一段と進んだことを示す「警告シグナル」と受け止めることができる――。筆者は以前からそのように考えている。

 このように消費者の支出意欲が弱含みとなっていることが見え隠れしていたところに、大きな悪材料が急浮上した。言うまでもなくそれは、新型コロナウイルス感染拡大の恐怖である。

 新型コロナウイルス感染者の発生地域が内外で拡大し、日本政府も対策を段階的に強化する中で、消費者のマインドが一層冷え込むのは避けられない情勢である。繁華街の人出は減少しており、各種イベントは中止・延期が次々と決まっている。居酒屋にもライブハウスにも、それからフィットネスクラブにも行きにくい(3月は臨時休館も相次いでいる)。平たく言えば、世の中がおしなべて「どうにも元気が出ない」雰囲気になってしまっている感が強い。

半年後の暮らし向き「悪くなる」も「良くなる」も増える

 そうした状況下で、消費マインドの萎縮度合いをうかがい知る手がかりとして注目されるのが、内閣府が発表している「消費動向調査」など、アンケート調査の結果である。

 内閣府は、月次で実施している日本の代表的な消費マインド調査である「消費動向調査」とは別に、「より幅広い方々の気持ちを把握するため」という理由から、ウェブ上で試験的なアンケート調査をしている。

 それが、原則毎月20日を締め切りに実施している「消費マインドについてのアンケート調査」である。質問項目は「暮らし向き」(半年後)と「物価上昇」(1年後)の2つだけという、実に簡潔な調査である。

 半年後の「暮らし向き」についての直近2カ月の回答分布は、以下の通りである。

◆1月(19年12月21日~20年1月20日実施)
「良くなる」(0.7%)、「やや良くなる」(5.6%)、「変わらない」(34.3%)、「やや悪くなる」(32.9%)、「悪くなる」(26.6%)

◆2月(20年1月21日~2月20日実施)
「良くなる」(3.3%)、「やや良くなる」(6.5%)、「変わらない」(32.0%)、「やや悪くなる」(25.5%)、「悪くなる」(32.7%)

 比べてみると、「悪くなる」が2月は顕著に増えた一方で、半年後にはさすがに今よりも改善しているだろうという期待を反映したとみられる「良くなる」「やや良くなる」も増加した。「消費動向調査」における消費者意識指標の作成と同じ手法で指数化してみると、1月の30.3に対し、2月は30.6である。ごく小幅ではあるが、この調査からは、消費マインドは2月に若干改善したという話になる。だが、そうした結論は多くの人の実感には合わないだろう。