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新型ウイルス肺炎が世界に拡大、日本国内でも警戒(写真:長田洋平/アフロ)

 連載300回をすでに大きく超えているこのコラム。執筆を打診された際には正直、迷いがあった。毎週書き続けるうちにネタ切れに陥るのではないか。景気・物価の動向だけをコメントする内容に絞るなら、早い段階で行き詰まるに違いない。

 そうした筆者の心中の迷いを見透かしたかのように、話を持ってきた当時の担当者は「困ったら何を書いてもいいんです。散歩していて見かけたちょっとしたエピソードとか、旅行ネタでもOKです」と、背中を押してきた。それが決定打になって、執筆を今日まで続けている次第である。今回は、日常生活の中で筆者が最近見聞きしたことを中心に書いてみたい。

金融市場を「リスクオフ」に追いやるコロナウイルス

 グローバル経済を揺さぶっている新型コロナウイルス。クルーズ船における検査で陰性と判定されて下船した人がその後に発病し、改めて検査をしたら陽性だったというショッキングな事例が出てくるなど、2月が終わってもこの問題は終息するめどが立っていない。

 そんな中、もう25年ほど通い続けているヘアサロンで散髪をした。長いお付き合いになったので、ざっくばらんにさまざまな話をする。流れの中で話題が新型肺炎になった。

 今回の新型肺炎は、韓国で感染者が急増したほか、中東のイラン、南欧のイタリアやその周辺へと感染が拡大し、地域的な広がりが鮮明になり、金融市場を「リスクオフ」へ追いやっている。

 もっとも、「気温が高くなり湿度も上がる夏になれば終息するはずだ」というのが、世の中では(おそらくは希望的観測もかなり込めつつ)一般的な見方になっているように思う。新型肺炎の流行が中国など世界経済にもたらす影響は夏場には沈静するというシナリオを、さまざまな調査機関が中心に据えている背後には、そうした見方があるのだろう。

 日本経済新聞の2月22日土曜日夕刊に「親子スクール」というページがあり、次のようにコンパクトに、そのように考えられる前提が解説されていた。

 「かぜやインフルエンザなど、鼻やのどにウイルスが感染する病気は『呼吸器感染症』といって、冬に流行しやすい特徴があるよ。冬は空気が乾燥しやすく、くしゃみなどで細かいしぶきにくっついたウイルスがより遠くまで運ばれやすくなる。しかも、乾燥によって鼻やのどの粘液が少なくなっていて、ウイルスを体外に押し流す効果が薄れている。寒さで免疫の力が弱ってしまうことも、病気の流行につながる」

 「現在世界的に流行が続いている新型コロナウイルスも、呼吸器感染症の一種だ」

 ところが、である。このヘアサロンの長年の常連であるお医者さんが来店した際に、気になる話をしていたという。2019年の夏にインフルエンザが日本で季節外れに流行したエピソードへの注意喚起である。九州や沖縄といった気温が高い地方でも流行して、学級閉鎖などにつながった。新型肺炎についても、夏場になっても流行が続いてしまうリスクには注意が必要だというのである。