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トランプ米大統領、どちらに転ぶ?(写真:AP/アフロ)

 米ギャラップ社が1月16~29日に実施した直近の世論調査で、トランプ米大統領の支持率が49%に上昇し、就任以降で最も高い水準になった<図1>。不支持率は50%で、回答なしが1%である。上院で大統領の弾劾裁判が開かれていたさなかに調査が実施されており、共和党支持者の団結心が強まったことが最大の原因だろう。

■図1:トランプ米大統領の支持率・不支持率
(出所)米ギャラップ

 今回の調査で共和党を支持する者のうちでトランプ大統領支持という回答は94%に達し、無党派層の間でも42%まで支持が増えた。一方、民主党を支持する者のうちトランプ大統領支持と答えたのはわずか7%。前回調査時の10%からさらに下がった。大統領選挙を秋に控える中で、「米国の分断」が一層深刻になっている。

 トランプ支持率が上昇した理由を、ギャラップ社のアナリストは4つ指摘している。すでに述べた弾劾裁判の影響に加えて、イラン革命防衛隊「コッズ部隊」ソレイマニ司令官殺害への評価、北米の新たな自由貿易協定(USMCA)署名への評価、米国の経済環境の良好さ、以上3つである。

63%がトランプ大統領を前向きに評価

 回答した人のうち63%がトランプ大統領の経済運営を前向きに評価しており、2019年11月の調査時から6ポイントも上昇した。人々の関心が高い、雇用情勢の一層の改善が支持率を押し上げている一因とみられる。米国の失業率は現在、約50年ぶりの低水準にある。

 もっとも、経済面のパフォーマンスが良好であることが即、現職大統領の再選につながるわけではない。あまり知られていないことだが、トランプ大統領には嫌なジンクスが1つある。それをここでご紹介したい。

 失業率と消費者物価指数上昇率(前年比)という2つの数字を単純に合計して算出されるのが、「ミザリーインデックス(悲惨指数)」である<図2>。「ミゼラブルインデックス」ともしばしば呼ばれる、国民の生活実感を知る上で手がかりになる数字であり、4年ごとの米大統領選に経済動向が及ぼす影響を探る際、特に現職大統領が再選を目指して出馬しているケースで、話題になることが少なくない。

■図2: 米国の「ミザリーインデックス(悲惨指数)」 毎年12月のデータ
(出所)米労働省データから筆者作成

 4年前の前回選挙年と比べた大統領選挙年のミザリーインデックスを見ておきたい。データの比較が可能な56年以降をケース分けすると、次のようになる。

(1)「指数が4年前から低下し、政権党勝利」 ~ 64年、84年、88年、96年
(2)「指数が4年前から上昇し、政権党敗北」 ~ 60年、68年、76年、80年、92年

 以上2つのケースは、経済動向に素直に沿って選挙が決着した事例である。

(3)「指数が4年前から上昇だが、政権党勝利」 ~ 56年、72年、04年、12年
(4)「指数が4年前から低下だが、政権党敗北」 ~ 00年、08年、16年

 以上2つのケースは、経済動向には沿わない選挙結果になった事例である。

 きわめて興味深いことに、2000年以降の5回の大統領選挙を見ると、例外なしに、ミザリーインデックスの騰落(=経済動向)に沿わない選挙結果になっている。

 16年の場合、インデックスは4年前(12年)の9.6から6.8に大幅低下していたが、「反グローバル化のうねり」に乗った共和党のトランプ候補が勝った。このときは「ヒラリー嫌い」の民主党支持者(特にサンダース上院議員支持の民主党左派)の動向など、マクロ経済以外の人的な要素も、かなり選挙結果に影響したようである。