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 BISの今回の報告書も、「グリーンスワン」(あるいは「気候のブラックスワン」)と、金融危機の原因になった「ブラックスワン」を対比しており、「グリーンスワン」には「ブラックスワン」の特徴の多くがあるとした。

 ただし、①気候変動がどのようなインパクトを及ぼすのかはきわめて不確実だが、野心的行動が必要とされるのは確実であること、②気候変動がもたらす大惨事は大抵のシステミックな金融危機よりもずっと深刻で、人類の存亡にかかわり得るものであること、③気候変動に関連する複雑さはブラックスワンよりもレベルが高いこと、以上3つの点で両者は異なっているという。

「壊滅的で不可逆的な衝撃」も

 このBIS報告書についてロイターは、「世界の中銀、気候変動から地球守れず 広範な国際協調を=BIS」という見出しの記事(英語ニュースの日本語訳)を配信。中央銀行・規制当局だけでは気候変動に対応できないという点を強調した。

 一方、日本経済新聞(電子版)は、BISのメッセージをよりダイレクトに伝える見出し「気候変動『金融危機引き起こしうる』 国際決済銀が警鐘」という見出しをつけて報道。地球温暖化が原因の自然災害で経済損失が生じる「物理的リスク」と、低炭素社会に転換する過程で関連資産や企業が影響を受ける「移行リスク」が複雑に絡み合い、「壊滅的で不可逆的な衝撃をもたらすかもしれない」というBISの指摘を率直に伝えた。

 その上で、執筆に携わったBISのルイス・アワズ・ペレイラ・ダ・シルバ副総支配人による「我々は次の金融危機の一歩手前に立っているかもしれない」という発言を紹介した。

 気候変動リスクはやはり、目先の経済成長うんぬんよりもはるかに次元が高い難題である。