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第201通常国会で施政方針演説をする安倍晋三首相(写真:ロイター/アフロ)

 第201通常国会が1月20日に召集され、同日午後に安倍晋三首相が施政方針演説をした。だが、その中に「デフレ」という言葉は見当たらなかった。安倍首相による2013年以降の施政方針演説では初めてのことであり、ブルームバーグ通信がこの点をいち早く報じていた。臨時国会や特別国会冒頭の所信表明演説を含めて考えると、「デフレ」なしは19年10月の所信表明演説に続いて2回連続。18年10月の所信表明演説以降では4回の演説のうち3回で、「デフレ」という言葉を安倍首相は口にしなかった<図1>。

■図1: 安倍首相が13年以降に行った所信表明・施政方針演説に登場した「デフレ」という単語の数と、使われた文章
(出所)首相官邸HPより筆者作成

 デフレからの脱却(あるいは2%の物価上昇率実現)に、安倍首相が以前のようなこだわりを見せなくなった背後には、国民にとっては雇用情勢がより大きな関心事であり、その改善こそが、内閣支持率でまずまずの水準を維持できている大きな原動力の1つであることに、首相自身が気づいたからだろう。日銀内では「リフレ派」の存在感が以前よりも低下している。

 もっとも、今回の演説では4番目の成長戦略のパートに(アベノミクス)という小見出しがあったほか、1番目のパートに「『日本はもう成長できない』。7年前、この『諦めの壁』に対して、私たちはまず、三本の矢を力強く放ちました。その果実を活かし、子育て支援、教育無償化、さらには働き方改革。一億総活躍社会を目指し、まっすぐに進んでまいりました」というくだりがあり、「三本の矢」という言葉が含まれていた。

 一方、今回の施政方針演説では、6番目の外交・安全保障のパートの最後の方に、気候変動に関する以下の文章が含まれていた。

安倍政権の気候変動対応は不十分

 「我が国は、5年連続で温室効果ガスの削減を実現いたしました。2013年度比で11.8%の削減は、G7の中で英国に次ぐ削減量です。長期戦略に掲げた脱炭素社会を早期に達成するため、ゼロエミッション国際共同研究拠点を立ち上げます。米国、EUなどG20の研究機関の叡智(えいち)を結集し、産業革命以来増加を続けてきたCO2を、減少へと転じさせる、『Beyondゼロ』を目指し、人工光合成をはじめ革新的イノベーションをけん引します」

 「世界の平和と安定、自由で公正で開かれた国際ルールの構築、気候変動をはじめとした地球環境問題への挑戦。より良き世界の実現に向かって、新しい時代の日本外交の地平を、皆さん、共に、切りひらいていこうではありませんか」

 単独の章を設けなかったことを含め、安倍内閣による気候変動問題への取り組み姿勢はなお不十分という印象を受ける。

 また、筆者が以前より高い関心を寄せている人口対策の関連では、以下の発言があった。