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イラクの米軍基地にミサイル攻撃があったことを受け演説するドナルド・トランプ米大統領(写真:AP/アフロ)

 マーケットの世界では、為替のドル/円相場や米国の株価指数に代表される通り、その年の1月中の値動きが年間の値動きに関して重要なシグナルを発することがある。

 ドル/円の場合、1月と年間の値動きの方向感が合致する、いわゆる「1月効果説」の的中率は、変動相場制移行後の1974年から2019年までの46年間で「33勝13敗」(勝率71.7%)である。このところ3年連続で的中しており、経験則としての重みが復活している。

 実は、19年という年は要人発言の面でも、1月という月が非常に重要な意味を持っていた。代表的な要人発言を各月について1つか2つ選び出した上で、筆者がコメントしながらその年の流れを振り返る内容を、スケジュールの関係で遅くなってしまったが、以下でお届けしたい。

意味深長だった2019年1月のトランプ発言

【1月①】
 トランプ米大統領「先月(2018年12月)は株式市場で少々グリッチ(瞬間的な不調)が発生した」「貿易問題が解決し、他の事柄も実現すれば値上がりするだろう」「FRBの助けも少々必要だ。しかし何とかなるだろう。通商を巡る合意が動き始めている」(1月2日 記者団に、ロイター報道)

~ 筆者は、この発言があった時点では「18年秋以降の株価大幅安をさほど心配していないふうを大統領は装って見せた」と受け止めていた。しかし結局のところ、米中の貿易交渉は12月に部分合意に至り、米主要株価指数は史上最高値を何度も更新した。振り返ってみると、上記の発言は実に意味深長である。

【1月②】
 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長「市場は世界景気を不安視しており、金融政策も柔軟に見直す用意がある」(1月4日、米アトランタで開催されたアメリカ経済学会年次総会で講演)

~ 利上げ路線の迅速かつ柔軟な見直しの用意に加え、問題が発生した場合はFRBのバランスシート縮小方針を修正する可能性にまで、パウエル議長は踏み込んで言及していた。これを受けた安心感から、米国株は大幅に反発。結局、FRBは7月から「予防的」「保険的」狙いの利下げを3回実施するのみならず、短期金利急上昇への対応でバランスシートの再拡大に踏み切り、米国株上昇・「リスクオン」への傾斜を促した。

【2月】
 ボルカー元米FRB議長(故人)「毎年の調査で聞かれる、政府がほとんどの場合に正しい行動を取ると信じているかとの質問で、『イエス』の回答は20%程度だろう。議会については20%を下回るだろう。イデオロギーなどの違いによってわれわれが分裂していることは周知の事実だ」(2月12日に公開されたポッドキャストのビデオ)

~「政府に対する米国民の信頼感が損なわれている」としつつ、ボルカー氏は上記のように発言。国内問題や中国との通商問題を巡るトランプ政権の対応を批判し、米国民が分裂していることは周知の事実だとした。そのボルカー氏は12月8日に92歳で亡くなった。金融政策の主眼がインフレとの戦いだった時代を象徴する人物だった。