ところが、実際に出て来た数字は、それまでの延長線上のものだった。大企業・製造業の業況判断DI(回答比率「良い」-「悪い」)は0で、前期から5ポイントも低下。4四半期連続の悪化で、13年3月調査(▲8)以来の低水準である。一方、同・非製造業の業況判断DIは+20という高い水準に踏みとどまり、前期からの悪化幅はわずか1ポイントだった。先行き(20年3月予測)はそれぞれ0、+18。製造業では下げ止まりの兆しが出てきたとも言えるが、プラス圏に浮上しているわけではなく、しかも0というのは希望的観測も交えた上での数字だろう。

 内需のもう1つの柱である設備投資に関して言えば、上記の日銀短観で示された19年度の投資計画は、引き続きしっかりした数字になっていた。大企業の19年度設備投資計画(土地投資額を含みソフトウエア投資額・研究開発投資額は含まない)は、前年度比+6.8%(修正率+0.2%)。小幅ながらも上方への修正である(内訳は、製造業が小幅下方修正、非製造業は小幅上方修正)。

 中小企業の同年度の投資計画は前年度比▲2.2%(修正率+4.8%)。12月調査時点の上方修正率としてはやや弱めと言えるが、例年のパターン通りに上方修正が毎四半期続いている。

 では、20年も日本経済の「二面性」はこのまま続いていくのだろうか。経済は生き物であり、内外で生じるさまざまな動きから影響を受けて変動するため、19年と全く同じというわけにはいかない。「二面性」は基本的には続いていくとみられるが、製造業と非製造業のギャップはある程度縮小してくるはずであり、内需のリスクは下振れ方向にあるというのが、20年の日本経済について筆者の描いているシナリオである。

企業の投資意欲は徐々に弱ってくる

 製造業では、すでに述べた通り、今年前半から半ばくらいにはグローバルに景況感の下げ止まりが予想される。ただし、注意しておきたいのは、回復過程を力強くけん引する国・地域やセクターが見当たらないため、上向く力は脆弱であり、何らかのショックが加わると回復はたちまち頓挫してしまうだろうという点である。

 非製造業では、企業の設備投資の出具合がこれまでよりも鈍くなるのではないかとみている。上場企業では20年3月期まで2期連続の減益が確実視されている。多くの企業が過去最高益を記録した後であり、収益の水準はまだ高いとしても、企業収益全体の減少がじわじわ続く中で、企業の設備投資意欲が全く影響を受けないままだとは考えづらい。やはり、投資意欲は徐々に弱ってくるとみるのが自然だろう。

 個人消費にしても、20年春闘では企業収益減少を受けて、ベア部分を含む賃上げ率の鈍化が濃厚である。業績連動色が強いボーナスは、夏・冬ともに19年よりも減るとみるのが自然だろう。雇用面の安心感は消費マインドを引き続き支える要因だが、賃金面では、家計を取り巻く環境はじわりと悪化する公算が大きい。

 東京で開催されるオリンピック・パラリンピックで日本の選手が大活躍を見せれば、19年のラグビーW杯のときのように国民のムードが高揚するかもしれない。だが、「うたげの後」には遅かれ早かれ、そうしたムードは冷めるのではないか。政府はその辺りも警戒しており、補正予算を伴う規模の大きな経済対策を打ち出して、景気の底割れ的な悪化だけはなんとか防ごうとする姿勢である。

 腰折れにつながるような急性ショックではないものの、じわじわと進んでいくタイプの悪化方向のプレッシャーに対して、内需の担い手である企業や家計にどこまで「耐久力」があるのか。グローバル経済の下げ止まり・安定化後のパスによって大きく左右される外需の動向とともに、内需がどこまで底堅さを維持できるのかが、20年の日本経済を見ていく上で、極めて重要なポイントになる。

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